欅の坂みち2022年2月号

『横浜教区報』2022年2月号1面より

+主教イグナシオ

 昨年12月のクリスマスは24日(金)のイヴ礼拝から始まり、降誕日深夜からは3回の聖餐式がささげられ、翌26日は主日に当たっていましたので、教役者にとってまことに厳しく“恵み深い”日程でした。

 そして1週間後、1日(土)が主イエス命名の日に当たり翌2日が主日でした。

 経験的には一年で最もゆったりと過ごせる期節なのですが、今期は普段どおりかそれ以上に密度の濃い時間を過ごしました。

 しかしながら、私たちの感覚というのは至って相対的なのものです。高速道路をインターチェンジで降りて料金所へ向かう時、速度感覚が狂ってしまっていて、50キロくらいスピードが出ていても、何だか20-30キロで走っているような感覚です。速度計を見ていませんとオーバースピードになってしまいます。

 同じようなことは、いろいろな場面で起こります。真夏の暑い時に温もりを感じることはまずありませんし、暑い季節には逆に冷たいおしぼりがとてもありがたいものです。温もりは冬の寒さの中でこそ感じるもので、わずかな温もりであっても私たちはその温もりにしばし癒されます。

 忙しさの中にあればこそ、ゆったりと過ごすことで癒されるものですし、いろいろと苦悩する中でホッとした安らぎを感じます。

 快適で便利になることは決して悪いことばかりではありませんが、痛みや悲しみ、辛さを感じてこそ、そこに癒しや安らぎ、慰めを感じられる、といえるのではないでしょうか。 「光は闇の中で輝いている」(ヨハネ1・5) という降誕日のみ言葉の意味は深いものがあります。そして、主イエスさまが父なる神さまの栄光を現された顕現も、神さまから最も遠いと思われていた人たちのところに起こり、そこで主は、「あなたたちは幸い」と祝福を告げられたのです。

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