欅の坂みち2022年6月号

+主教イグナシオ

欅の坂みち2022年6月号

新型コロナ・ウィルスの新規感染者は全体的に減少傾向を見せていましたが、大型連休の後、若干の増加傾向が見られます。これが、一時的なものであることを願うばかりです。

今はやりのオミクロン株になってから、身近な人たちの感染の報告を耳にするようになりました。症状は今までのものよりも軽いと言われますが、家族の中で感染者が出た場合、自分は陰性であっても濃厚接触者として自宅待機しなければなりませんので、その影響は小さくはありません。そして2月に始まったロシアのウクライナへの侵攻は今なお続いており、特に非戦闘員である一般の市民に多くの犠牲者が出ていることに胸が痛みます。

そうした中、どうすれば武力侵攻してくる相手を止めることができるのかといった議論が日本国内でも上がっています。

力で攻め込んでくる相手には、防衛の範囲においてとはいえ力で対峙せざるを得ないというのが現実であり、またそれが限界なのかも知れませんが、たとえそうであったとしても、そこには悲しみは生まれても相手の痛みへの思いやりは生まれてきません。

人がその強さを誇ろうとする時、相手を力でねじ伏せようとする思いが湧き起こってくるのではないでしょうか。

聖パウロは言っています。「自分自身については、弱さ以外には誇るつもりはありません」(Ⅱコリント 12:5)と。お互いが信頼してその弱さを誇れる時、力ずくで相手をねじ伏せることがいかに愚かなことなのかが見えてくるように思います。そしてそれは、だれもが生まれたばかりで何もできなかった幼な子の時に体験し、学んできたはずなのです。

諦めずに一日も早い停戦の実現を、そしてすべての武器が置かれることを祈り続けていきたいと思います

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