欅の坂みち2022年11月

+主教イグナシオ

欅の坂みち2022年11月号

一昨年の3月以来、新型コロナの影響で会議はもっぱらウェブとなりました。ネット環境さえあればどこにいても会合に参加でき、会場まで往復する時間も交通費も節約できて一石三鳥でもあるのですが、結果としては何だか会合に追われるようになってしまったという印象が否めません。


他に予定がない限り、断る理由がなく、いつでもどこでも参加が可能なのです。


しかし、良いことばかりではありません。ハード面では参加者が皆、ある程度、ネット環境に加えてパソコンやスマホといった機器をそろえる必要がありますし、ソフト面ではそれを使いこなせることが参加の条件になってしまいます。


しかも、会合の中では発言する人は一人で他の人は皆、聞き手になります。席の隣の人とのひそひそ話もほとんど叶いません。


休憩時間でもロビー活動はできませんので、参加している人たちと議題以外の話はほぼ不可能です。


確かに、テキパキと勧められるのは確かなのですが、今までのような対面であれば、顔と顔とを合わせて「やあ、お久しぶり」とか、「お元気でしたか」などといった議題以外の会話が自然に生まれてくるのですが、そのような人と人との出会いの潤滑油となる環境がウェブ会議ではほとんど持てないのが実状です。


最近になって、久しぶりに対面でやりましょう、という声を多く聞くようになりました。私たちは、その人が語る言葉だけでなく、その時の声のトーンや身振り手振り、姿勢や視線の動きなど、相手のいろいろな情報を通して、その思いを聴こうとしていたことが改めてよく分かりました。


まだまだ感染には注意が必要ですが、それでもなお、直接まみえ、同じ空間を共有することがお互いを深く理解する上で何よりも重要であるということに、今、改めて気付かされています。

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