司祭ダビデ渡部明央
横浜聖アンデレ教会牧師
川崎聖パウロ教会管理牧師
聖霊降臨後第22主日(特定27)
特定27の特祷は次のように祈ります。
「全能の神よ、何ものもあなたの支配に逆らうことはできません。どうかこの世の変動の中においても、常にみ国の到来とみ心の成就を望み、確かな信仰をもってひたすら主に仕えさせてください。」
この世の変動の中においてもと言っていますが、わたしたちは今まさに、この世の移り変わりの只中にいるのではないでしょうか。
新型コロナウィルスのパンデミック、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、次々と起こる大規模な自然災害……。様々に起こる出来事に、不安と恐れを抱えている人、また困難のうちに生きる人が大勢います。わたしたち自身も多かれ少なかれ、不安や恐れを抱えているでしょう。
先の特祷は、この世の変動の中においても、常にみ国の到来とみ心の成就を待ち望み、確かな信仰をもってひたすら主に仕えなさい、と祈ります。これは、この世がどう移り変わろうとも、信仰を持ち続けて生きていきなさい、と呼びかけられているのです。たとえ困難や苦しいことが訪れても、主イエスさまを仰ぎ見て、主を信頼して生きていきなさい、と祈りのうちに示されているのです。
移り変わるのはひとりの人間においても起こることです。わたしたちは年を経るにつれ、体も変化すれば、考え方や物の見方が変わることがあります。病を患うこともあれば、今までできたことができなくなっていきます。そのように体の内外で変化がわたしたちにも起こり、時としてその変化はわたしたち自身を苦しめます。
この世の移り変わり、そして自分自身が変化していく中においても、わたしたちは主イエスさまへの信仰を変わらずにもち続けて参りたいと思います。
「神はあなたがたを、救われるべき者の初穂としてお選びになったからです。神は、このことのために、すなわち、わたしたちの主イエス・キリストの栄光にあずからせるために、わたしたちの福音を通して、あなたがたを招かれたのです。ですから、兄弟たち、しっかり立って、わたしたちが説教や手紙で伝えた教えを固く守り続けなさい。」(Ⅱテサ 2・13、14)
教会暦は間もなく一年の終わりを迎え、主日のみ言葉は終末を想起させる箇所が選ばれます。終末は主イエスさまの再臨の時です。その時に向けて教えを固く守り続けていきなさい、と呼びかけられています。わたしたちが主を仰ぎ見て日々を過ごすとき、神がどれほどわたしたちを愛してくださっているかが示されます。その愛に触れることで、わたしたちは主によって強められ、生きる力を与えられていくのです。
み言葉を聞き、祈り、聖餐によって養われる日々の信仰生活を大切に過ごして参りたいと思います。そして主のみ教えを生きる者となりますよう祈り求めて参りましょう。
(『横浜教区報』2022年11月号巻頭言より)
旧約聖書 ヨブ記 19:23-27a
23どうか
わたしの言葉が書き留められるように
碑文として刻まれるように。
24たがねで岩に刻まれ、鉛で黒々と記され
いつまでも残るように。
25わたしは知っている
わたしを贖う方は生きておられ
ついには塵の上に立たれるであろう。
26この皮膚が損なわれようとも
この身をもって
わたしは神を仰ぎ見るであろう。
27このわたしが仰ぎ見る ほかならぬこの目で見る
詩編 17:1-8
1 主よ、わたしの正しい訴えと叫びに心を留め‖ 偽りのない祈りに耳を傾けてください
2 正しい審きをわたしに現し‖ 分け隔てのない目を注いでください
3 あなたは夜、わたしを訪れ、心を試されても‖ あなたは何もよこしまを見いだされない。わたしは口で罪を犯さない
4 人の行いのことを言えば‖ わたしはみ言葉に従い、暴力の道を避けた
5 わたしの歩みはあなたの道を堅く守り‖ わたしの足はよろけなかった
6 神よ、あなたに叫ぶわたしにこたえ‖ 耳を傾けて願いを聞いてください
7 あなたのもとに逃れる者を力強く救い‖ 慈しみの業を現してください
8 ひとみのようにわたしを守り‖ み翼の陰に隠してください
使徒書 テサロニケの信徒への手紙 Ⅱ 2:13-3:5
13しかし、主に愛されている兄弟たち、あなたがたのことについて、わたしたちはいつも神に感謝せずにはいられません。なぜなら、あなたがたを聖なる者とする“霊”の力と、真理に対するあなたがたの信仰とによって、神はあなたがたを、救われるべき者の初穂としてお選びになったからです。 14神は、このことのために、すなわち、わたしたちの主イエス・キリストの栄光にあずからせるために、わたしたちの福音を通して、あなたがたを招かれたのです。 15ですから、兄弟たち、しっかり立って、わたしたちが説教や手紙で伝えた教えを固く守り続けなさい。 16わたしたちの主イエス・キリスト御自身、ならびに、わたしたちを愛して、永遠の慰めと確かな希望とを恵みによって与えてくださる、わたしたちの父である神が、 17どうか、あなたがたの心を励まし、また強め、いつも善い働きをし、善い言葉を語る者としてくださるように。
1終わりに、兄弟たち、わたしたちのために祈ってください。主の言葉が、あなたがたのところでそうであったように、速やかに宣べ伝えられ、あがめられるように、 2また、わたしたちが道に外れた悪人どもから逃れられるように、と祈ってください。すべての人に、信仰があるわけではないのです。 3しかし、主は真実な方です。必ずあなたがたを強め、悪い者から守ってくださいます。 4そして、わたしたちが命令することを、あなたがたは現に実行しており、また、これからもきっと実行してくれることと、主によって確信しています。 5どうか、主が、あなたがたに神の愛とキリストの忍耐とを深く悟らせてくださるように。
福音書 ルカによる福音書 20:27,(28-33),34-38
27さて、復活があることを否定するサドカイ派の人々が何人か近寄って来て、イエスに尋ねた。 (28「先生、モーセはわたしたちのために書いています。『ある人の兄が妻をめとり、子がなくて死んだ場合、その弟は兄嫁と結婚して、兄の跡継ぎをもうけねばならない』と。 29ところで、七人の兄弟がいました。長男が妻を迎えましたが、子がないまま死にました。 30次男、 31三男と次々にこの女を妻にしましたが、七人とも同じように子供を残さないで死にました。 32最後にその女も死にました。 33すると復活の時、その女はだれの妻になるのでしょうか。七人ともその女を妻にしたのです。」) 34イエスは言われた。「この世の子らはめとったり嫁いだりするが、 35次の世に入って死者の中から復活するのにふさわしいとされた人々は、めとることも嫁ぐこともない。 36この人たちは、もはや死ぬことがない。天使に等しい者であり、復活にあずかる者として、神の子だからである。 37死者が復活することは、モーセも『柴』の個所で、主をアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神と呼んで、示している。 38神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神なのだ。すべての人は、神によって生きているからである。」