欅の坂みち 2023年7月

+主教イグナシオ

欅の坂みち 2023年7月号

コロナ感染が落ち着き、四年ぶりに対面での集まりがようやく回復されるようになりました。

振り返ってみれば、止むを得ずとはいえ礼拝の公開休止いった今まで経験したことのない事態に直面し、各教会では、そこに派遣された教役者たちが一人、礼拝をささげ、教会の歩みを続けて来ました。

五月には、コロナが感染症の五類に移行され、世界保健機構(WHO)も新型コロナの緊急事態宣言を解除しました。四年前の生活に戻りつつあるようにも思うのですが四年という時間の中には取り戻せるものと取り戻せないものがあり、全く以前と同じには戻れないように思います。

そんな中、五月の末に教役者のリトリートをナザレの家(旧ナザレ修女会)で持つことができました。指導は神戸教区の小林尚明主教さまにお願いして「キリストの弟子として生きる」というテーマで、コロナ禍を経て態勢を立て直すべく、一度、自らの寄って立つところを見詰め直し、ここからどこに向かって進もうとしているかを思い巡らすときといたしました。

正味一日という短い時間ではありましたが、静かな環境の中で自らの召命と向き合う時間を持つことができました。

そして改めて、リトリートの必要性をひしひしと感じて戻って参りました。それだけコロナ禍にあって、ある意味、自分の足元を見つめることができずにいたという驚きと共に、また反省もしきりでした。

教会に遣わされているということで教役者は、主日はもとより毎朝夕、それぞれの聖堂で祈りの時を持っています。信徒の皆さんも、ミレーの「晩鐘」の絵を思い出しながらほんの一時のリトリートとして、ご自分の通う教会の聖堂に思いを寄せ、神さまのみ声に心の耳を傾けてみてはどうでしょう。

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