通信教育講座の信徒神学校、第30期のご案内です。
第30期信徒神学校への誘い
校長 マルコ 平岡義和
厳しい暑さの夏を迎えましたが、主にある平安をお祈り申し上げます。
1990年にスタートした信徒神学校も今回で第30期を迎えることになりました。当初は福音宣教を担う信徒の育成という目的が掲げられていましたが、現在では信徒の信仰を養う教養講座としての性格を強めています。しかし、レポートを通じた講師と受講者との相互交通による学び、期末に対面でスクーリングと特別講演会を行うというよき伝統は今も守られています。長きにわたる聖職、信徒の皆様のお支えと主の導きに感謝したいと思います。
さて、今期の講師のお一人三原一男司祭は、教育主事として信徒神学校の創設に関わっておられます。また、もうお一人の講師大野清夫司祭は既に3回講座を担当されておられます。こうしたベテランのお二人による今期の講座は新たなことを学ぶという以上に皆様の信仰について振り返るのに役立つ内容となっているように思います。ぜひお一人でも多くの方が受講くださるよう、スタッフ一同願っています。
(静岡聖ペテロ教会信徒)
受講のお勧め
主教 イグナシオ 入江 修
横浜教区の信徒神学校は今年10月より新たに第30期が開講されます。30回を迎えることができたのは、歴代講師とスタッフの方々はもちろん、受講者の皆さんあってのことであり、感謝に堪えません。
今期は、三原一男司祭による「クリスチャンであるということ」と、大野清夫司祭による「象徴としてのイエス、象徴としての寅さんの意味すること」の二つの講座です。
信徒神学校はテキストを介して講師と受講者の直接のやり取りが醍醐味であり、特徴です。今さら聞けないと思われていることや一歩踏み込んだ内容について、講師とのやり取りが学びを深めます。テキスト購読だけでももちろん良い学びになるのですが、是非レポートを提出されて“修了証”を目指し、チャレンジしてみてはいかがでしょう。
恒例のスクーリングと特別講演は来年の春に予定されています。追って案内が参りますので、こちらもぜひご期待ください!
主にありて
第30期信徒神学校 要項
【10月1日 開講】
期 間:
2024年10月1日~2025年5月31日
講座形態:
1か月に1回(全6回)講座テキストを送付します。レポート返送する通信方式。3回以上のレポート提出をお願いいたします。
スクーリング:
期間内に開催。第30期は2025年2月または3月 開催予定
受講料:
1講座 6,000円。
テキスト代、発送費、スクーリング代を含みます。レポート送料は受講者負担となります。
受講申込:
「信徒神学校受講申込」(別添葉書)もしくはFAX・メールにて必要事項を記入し下記へお送りください。
〒221-0852 横浜市神奈川区三ツ沢下町14-57 横浜教区教務所内 信徒神学校事務局
TEL 045-321-4988 FAX 045-321-4978
E-Mail shuumu@anglican.yokohama
申込締切:
2024年9月15日(日)(開講後でも希望があれば申し込みを受け付けます)
費用支払:
申し込みを頂きますと受講料のご案内と郵便振替用紙をお送りいたします。郵便局よりお振り込みください。
信徒神学校スタッフ
校 長 マルコ平岡義和
チャプレン 司祭バルナバ田澤利之
教育主事 司祭トマス吉田仁志
スタッフ エリザベツ高橋百合子、ヨセフ舘野裕之、アイリーン米村麻美
第30期コースご案内
(1) クリスチャンであるということ
司祭ヤコブ三原一男
皆さんは自分が、クリスチャンあるいは、キリスト者であるということについて、どんな思いを持っておられるでしょうか。いわゆるボーン・クリスチャンで幼児洗礼の方や、ミッションスクールでキリスト教に導かれた方、結婚の相手がクリスチャンだったので受洗された方、自ら教会の門をたたいて入信された方、ベテランの方、最近洗礼を受けたばかりの方、まちまちだと思います。今、日本では、キリスト教に対する「迫害」はまずありませんが、まわりの人たちから私たちはどう思われているのでしょうか。
私は6年前に現役司祭を退職して、初めて牧師館以外の家に住むようになり、嘱託として働いていますが、改めて教会以外の方々との多くの出会いの機会を与えられています。信徒の皆さんは、もとより日曜日以外はどこでも、様々な方々とのつながりと関わりの中で、日々の仕事や生活があるわけです。うれしいことや楽しいことも沢山ありますが、その反面、つらいことや悲しいこと、地球温暖化による異常気象や、止むことのない戦争や紛争にまみれたこの世界の行く末に痛みをもって不安を抱えています。いやもっと身近なところで、家族の中の悩み、職場の人間関係に直面しているのです。そんな中で、私がクリスチャンであるということは、一体どういうことなのでしょうか。
2014年に出版され、2021年に日本語訳が出された、前のカンタベリー大主教、ローワン・ウィリアムズ主教の「Being Christian」日本語のタイトルは「キリスト者として生きる」という本を読んで、今まで何となく考えていたことに対しての発想の転換を迫られ、これはもっとじっくり読みたいと思いました。そして「クリスチャンであるということ」についてより正しく、深く学ぶことが出来ればと願っています。この本は、「洗礼」「聖書」「聖餐」「祈り」という4つの柱を軸に書かれています。この本を参考にして、共に学んでまいりましょう。
(逗子聖ペテロ教会嘱託司祭)
(2) 人情とキリスト教
司祭バルナバ大野清夫
「初めに言があった」(ヨハネ1:1)と語るように、キリスト教はロゴスを中心とします。しかし日本人は義理と人情を大切にすると宗教学者山折哲雄は指摘します。「あの人は人情で牧会している」と語る人もいます。「人情」とキリスト教信仰は別のものなのか。イエスが示した事柄を「象徴」として捉え、理解を深めたいと考えます。
まず象徴論をレボン『いかに礼拝を理解するか』(大野抄訳)から学び、次いで米田彰男『寅さんとイエス〔改訂新版〕』(筑摩選書)を通読します。レボンは訳文を配布します。『寅さんとイエス〔改訂新版〕』も毎回、各章のまとめを配布しますが、本をお手元に置いて学ぶならば理解が深まるでしょう。町の書店でお求めになれます(税込1,980円)
寅さんとイエスが指し示すものは何か、人情と(神の)憐みは重層的なものなのか。考えてみましょう。寅さんからイエスを、「とら屋」(寅さんやさくらの暮らす団子屋)から教会を見通すことが出来ればと考えます。奮闘努力の甲斐も無く、と思わないで下さい。それを言っちゃあ、おしまいです。
(市川聖マリヤ教会嘱託司祭)