社会委員会ニュースレター『ちいさな手』26号 浜松聖アンデレ教会「アンデレ子ども食堂」について ほか

横浜教区社会委員会が発行しているニュースレター『ちいさな手』第26号(2023年10月19日発行)をアップロードしました。どうぞお読みください。

目次

浜松聖アンデレ教会「アンデレ子ども食堂」について

浜松の教会では2022年5月から子ども食堂を始めました。2022年が始まった頃に牧師である私が子ども食堂をしたいと申し出て準備を始めました。最初に浜松市の子ども支援課に電話をして子ども食堂を検討していると伝え二つの子ども食堂を紹介していただき見学をしました。一つは教会が実施している子ども食堂でとても勉強になりました。子ども食堂に見学した際に浜松市議の方から子ども食堂への補助が含まれる予算案が市議会で決議されたことも後押しになりました。3月から子ども食堂のチラシを作成し回覧板や近くのスーパーなどに掲示していただき、浜松市へ補助金申請を提出しました。最初は第四日曜日の午後3時から子どもの滞在・勉強支援を兼ねて始めました。

5月に第一回目を開催しましたが事前予約は4名でした。その後も数名から全く予約もない月もあり様々なイベントを組み合わせて子どもと保護者を集めようとしました。ボランティアをしたい、食品を提供したいという問い合わせは来るのですが子どもは来なかったです。困ったことにチラシを掲示してもらおうとスーパーや郵便局を回るのですがなかなか掲示をしてもらえなかったため、夏から秋にかけてTwitter, Facebook, InstaglamなどのSNSにて告知を続けました。

転機となったのは浜松市社協からいただく提供品を食品配布会(フードパントリー)として日曜日の午後から配布したときです。市の社協には企業や自治体から賞味期限切れ間近の防災食品やディスカント販売ができない食品・食材が子ども食堂への提供品として持ち込まれ各子ども食堂へ分配されます。保護者と子どもが数名しか集まらないにもかかわらず大量の在庫を抱えてしまったため、無料で食品を配布する配布会を開催するチラシを様々な商店に掲示していただいたところ、数十人の保護者と子どもが集まりました。フードパントリーの需要が高いこと、教会から数十キロ離れた地域からも来ることが分かりました。また、考え方を改めて、子どもへの支援ではなく子育てをしている保護者へと支
援対象を変更するようにしました。

昨年の12月から第四月曜日夕方に開催日時を変更し、合わせて必ずフードパントリーも実施しています。月曜日だけで配布できない食品は前日の第四日曜日の午後3時から配布しています。日曜日は子育て世帯だけではなく地域の生活困窮者の方にもお配りをしています。

現在のボランティアは信徒が2名、信徒ではない方が2名来られています。子ども食堂への来場者は25名を上限としています。最近は毎月申し込み上限を超える予約が入っています。4月から提供料理はほとんどカレーとなっています。教会へ来られた保護者は始めに食品配布会へ行き食品を選びます。その後、テークアウトの方は料理を受け取り帰ります。イートインの家族は教会の会館で午後7時まで食事をして過ごします。

子ども食堂とフードパントリーに最初に来た方は登録をしていただき番号が振られたカードを渡しています。これは食品を提供してくださっているNPO法人から転売防止のため要請されているためです。子ども食堂は必ずグーグルアンケートフォームか電話を通じて予約をいただいています。フードパントリーは登録をされている方は誰でも来場可能です。料金は大人、子どもの区別なく全員100円です。会計は毎月5000円前後が収入として入り、同じ程度支出をしています。昨年度末に県と市から補助金をいただくことができましたので会計的には困ってはおりません。また、教会施設を使わせていただけていることも大きいです。自治体から補助を受けるに当たり教会とは別の任意団体を立ち上げて教会委員の皆さんに入っていただいています。会則も作成し市に提出もしています。昨年度は新規立ち上げとして4万5千円を市へと補助申請し、2月末に会計と活動報告を提出して補助をいただいています。その他、県からの補助金、愛知県・静岡県からの防災備蓄米の提供、JAとぴあ浜松から毎月野菜、赤い羽根募金・ふじのくに未来財団からも食材をいただいています。

子ども食堂には様々な形があると思います。子どもの居場所作り、勉強支援、地域の高齢者・子どもの交わりの場、企業の社会貢献として、など浜松市でも実施の形は多様です。実施主体も企業、社会福祉法人、宗教法人、自治会、有志の集まり、個人、など様々です。うちの子ども食堂は宗教団体が実施している貧困対策を主目的とした子ども食堂になると思います。元々、英米にて多くの教会が開いているフードバンクを日本でしたいと考えていました。バンクというほど食品は集まっていませんが近い形になってきたと思います。

教会の宣教は社会宣教と福音宣教の両方があると言われます。どちらかを主体にと考えがちですが実際はこの二つは密接に関連しています。フードパントリーに来る方から教会はいつ礼拝をしていますか?普段何をしていますかと聞かれます。また、子どもがキリスト教に興味あるからと一緒に来た子どもさんにキリスト教の説明をしたこともあります。排他的関係にあるのではなく両方が協力し合ってキリストの福音を伝えていると実感してます。

教会は食事を作ることに慣れている信徒さんが大勢いますし、台所と食堂、調理器具と食器が揃っています。子ども食堂を始める環境が整っているので他団体から羨ましがられています。社会には食品を安く受けたいと望んでいる人がいて、また、食品廃棄に悩む企業・自治体があります。両者を繋ぐ働きだけでも教会の宣教になるのではないでしょうか?とりあえず近くの子ども食堂のいくつか見学してみたら新しい発見があると思います。

司祭バルナバ吉川智之(浜松聖アンデレ教会 牧師)

コロナ禍の船員たちとMtS(The Mission to Seafarers)

海で働く漁業従事者や船員たちは、陸上とは異なる特別の厳しさがあります。大きな世界情勢の課題にも真っ向から立ち向かわねばなりません。

3年前、新型コロナウイルスが襲い掛かり、社会の最も弱い立場にある人々を直撃しました。
パンデミックの影響は、海や港で働く人々にとって、より大きく、深刻なものでした。ウイルスの蔓延の中で陸上の活動がほぼ止まっている間でさえ、私たちの生活を維持するために、港は動き続け、物資や商品の運搬のほとんどを担い続けていました。特に、重症の方に必要な医療機器を世界のどこまでも届けていたのです。船員や港湾で働く人は、感染しないための試行錯誤をしながら働き続けました。

感染拡大を抑えるための国境の封鎖や、地域や自治体レベルで設けられた行動・渡航制限の影響を受け、船員が船上に留め置かれたまま下船できない、帰国できない状態が長期間続きました。航海の延長を強いられ、契約期間を大幅に超えて18ヶ月間も乗船したままで働いている人もいました。このような船員が世界中で20万~30万人にも達したのです。これらは、船員の精神面・肉体面に悪影響を及ぼすことは言うまでもありません。ストレスや、鬱病、自殺が増加し、深刻を極めました。先行きの不透明感、収入の不安定化や絶望感がメンタルヘルスをパンデミック化していきました。
また、防護服などの個人保護具(PPE)が十分に支給されず、感染リスクに晒さらされコロナに感染し、船内で死亡する船員も多く報告されました。当初船員たちはワクチン接種を受けられず、港に寄港しても病院に行くための上陸が許可されませんでした。船員へのワクチン接種は、米国や豪州等の国々では寄港中の外国人船員に徐々に提供しているとの情報もありましたが、日本政府の方針は、船員や港湾労働者に対し、他の職種に先んじて優先的接種を行うつもりはないとのことでした。

一方、交代要員として自国で次の乗船を待つ船員にとっても、その機会が奪われることにより収入が途絶え、家族を養うことが出来ない等、生活の困窮が身に迫る船員たちからの支援要請もありました。

私たちMtSは、感染しない、感染させないという配慮を保つことを念頭に置き、感染リスクを負わない形での船員への支援を模索しつつ訪船活動を継続しました。
感染拡大の懸念から訪船を断られる場合もありましたが、船内には入らず舷門において、当直の船員との短い会話や情報提供を行い、電子媒体(メールや電話、Facebook、Social media)を通じたアドバイスやコミュニケーションを行いました。必要に応じて聖書やロザリオを提供し共に祈ったり、家族のための祈りも捧げました。船から外出できない彼らのために少しでも気分転換になればとお菓子や日用品の差し入れ、クリスマスには例年通りニット帽や小物のプレゼントも行い大変喜ばれました。近隣の学生や信徒の皆様の御協力のお陰です。心より感謝を申し上げます。

感染症はいつか終息するでしょう。しかし困難と不安定さの犠牲が伴う船員の生活は続きます。MtSは、船員に出会うための訪問を何より大切にしています。彼らは、訪問者とおしゃべりをして、一緒に過ごすことをとても楽しみにしています。信頼関係を築き、問題解決の手伝い、そして社会的、法的、霊的な支援が求められています。

キリストにおける私たちの大切な家族として、船員の皆さん一人ひとりを迎えることができますように。

司祭 アンドリュー・デンジャーフィルド(横浜クライストチャーチ牧師・MtS チャプレン)

カパティランについて

東京教区の働きである「カパティラン」について、ここにご紹介できますこと大変感謝です。約20年前柏聖アンデレ教会牧師の時に、難キ連・面会支援ボランティアに参加しました。この関りから理事にとのお話をいただくことになりました。

「カパティラン」の活動は、現在30年以上になります。立川聖パトリック教会で牧師をなさっておられた神﨑雄二司祭様が、教会を訪ねて来られたフィリピン人女性たちと関われたことが始まりだと伺っております。多くの困難な課題と問題を抱えた女性たちに対して、神﨑司祭様お一人で関わられておられましたが、その後、東京教区の働きとしての「カパティラン」になったそうです。当初は在日フィリピン人女性の駆け込み寺のような働きをされておられたとのことです。DVなど様々な困難なことや、身の危険があることなど、相談が絶え間なく来たそうです。一時的な避難所のような役割を担われたり、日本語教室などもされたそうです。一つの国におさまらず様々な国から来られた方々の支援や援助などを行われていったそうです。関り取り組むべきことは多種多様になっていきました。多くの方々が様々な支援と奉仕に関られました。長く取り組まれた後である、2015年頃からは、外国にルーツを持つ子どもたち(両親のどちらかが外国人である大学生または高校生)のための奨学金を支給していくことになっていきました。

現在の「カパティラン」では、支給を受けている学生たちに向けて、月一回のごはん会(会場:聖救主教会 食事をしながら、家庭や学校のことなどを、報告を交えて話したり相談などをする機会)、長野県野尻湖湖畔での夏期キャンプ、フィリピン北ルソン教区でのホームステイ(電気・ガス・水道などのない山岳地域での生活)、日本語学習支援などが実施されています。

「カパティラン」の財政状況は現在厳しい中にあります。毎年、東京教区から補助をいただいております。これは会計全体の約6割となっています。個人や団体(教会を含む)からの献金は、2017年から比べれば、約三分の一に減少しています。減少の理由としては新型コロナ禍や献金者が高齢で逝去されたことなどです。現在減少を止めるために理事会は検討を重ねているところです。

私に声がかかりましたのは、これまで東京教区の働きでありましたが、広く周りの教区にも、改めて支援をお願いした
いという理由からです。

新型コロナ禍もあり、各個人・各教会では、まだまだ気持ちも落ち込んでいて、何かを再開したり、新しく何かをする
気力も無い状況かもしれません。自分のことや、自分たちの教会のことで精一杯かもしれません。そのような中で、申し上げますことは大変心苦しい所ではありますが、もし可能でありましたら、現在、外国から日本に来たり、日本で生まれたりして生活している外国にルーツを持つ子どもたちのために、わずかでも、ご支援いただけましたらありがたく存じます。「カパティラン」で定期的に発行しておりますタイムズ(各教会にも毎回届いているものです)という通信物にあります情報をここに掲載させていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

カパティランのご支援方法

◆クレジット決済 NEW!
今回のみ寄附…単発の寄附ができます。
毎月寄附…500円~自由な金額で継続寄附ができます。

◆郵便振替
名 義 :カパティラン
振替番号:00190-3-581517

◆インターネット
Give Oneにて カパティラン で検索
※寄付金控除・税別控除あり
・多文化共生ホームステイ
・奨学金

◆Facebook いいね!で支援
https://www.facebook.com/kapatirantokyo

司祭 ラファエル 宮﨑 仁
(「カパティラン」理事 松戸聖パウロ教会牧師 柏聖アンデレ教会管理牧師)

社会委員ニュースレター「ちいさな手」第26号    2023年10月19日発行
編集責任者:宣教主事 司祭 サムエル 北澤 洋    編集・構成:司祭 テモテ 姜 暁俊
社会委員:司祭 ダニエル 竹内 一也、司祭 トマス 吉田仁志、エステル 近藤 順子(横浜聖アンデレ教会)、ペトロ 勝沼正和(横浜山手聖公会)

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