執事 ステパノ 髙野 洋
(ルカによる福音書 第21章25節-31節)
聖書日課がⅭ年に変わり、イエス様のご降誕を待つ期節になります。イエス様は、神の国が近づいているときの徴を弟子たちに語ります。その徴は「海がどよめき荒れ狂う」、「天体が揺り動かされる」です。それはまるで、地震と台風がいっしょに来るような状況です。世界のあちこちで時々起きる地震、大雨、近年身の回りでよく見聞きする異常気象をイメージします。「諸国の人々が、なすすべを知らず、不安に陥る」という言葉から、異常気象だけでなく、世界で起きている様々な争いも思い浮かびます。最近では世界中の状況、人々の困難な有様がタイムリーに報道されてくるようになりました。まるで身近な隣国で起きているような感覚になります。このような情報を見聞きするとき、心の中はもやもやしてきます。何かできることはないのだろうか、このままで良いのだろうかと。「あなたがたは、これらのことが起こるのを見たら、神の国が近づいていると悟りなさい」。イエス様は、これらのことを見聞きするときには、神の国が近づいていることを悟るようにと言われました。わたしたちは日々その徴を見ているのかもしれません。では、どうすればよいのでしょうか。ただ口を開けて待っているだけよいのでしょうか。とは言え、これらの災難に対抗できる力は持っていません。
イエス様の出来事によって罪と悪と死に勝利しているのだから大丈夫。忍耐して祈っていれば大きな力が働いて、世界がガラッと変わるような出来事が起こるのだから・・。
この考えは半分正しくて半分足りないように思います。イエス様が勝利しているとは言え、この世界を見れば今も闘いが続いていることは明白です。ですから、わたしたちも戦いに出て行くことが求められているのではないでしょうか。わたしたちは一人ではなく、あらゆる力を超える強い味方とともに戦うことができます。ですから悪と思われるものに恐れず立ち向かうことができるでしょう。「身を起こして頭を上げなさい」という言葉は、わたしたちが目を向けるべき場所を示し、その戦い方を示してくださるのだから、頭を上げていなさい。示される所を見落とさないように目を覚まして注意していなさい、と言われているようにも聞こえます。神さまご自身がすでにこの世界のあらゆる場で働いておられ、教会はそれを共に担おうとしています。この聖書箇所は神の宣教を語っているのではないでしょうか。天体は常にあり続けるはずのもの、安定の象徴です。それらが揺り動かされ、なすすべを知らず、不安に陥っているところに人の子が大いなる力と栄光とを帯びて来て下さる。わたしたちは力づけられ、それぞれの役割を持って、すでにイエス様が働かれている場所へと出かけて行けるのです。「神の国が近づいていると悟りなさい」。わたしたちが日々見聞きする情報は、神の国のおとずれが預言されているのかもしれません。身を起こして、頭を上げていましょう。これから新たに始まる降誕の期節、そして新たな聖書のみ言葉が運んでくれるメッセージを見落とさないように。
(鎌倉聖ミカエル教会牧師補)
(『横浜教区報』2024年12月号巻頭言より)
特祷
全能の神よ、み子イエス・キリストはわたしたちを顧み、謙遜なみ姿でこの世に来られました。どうかいま、闇の業を捨てて、光のよろいを着る恵みを与え、終わりの日に生きている人と死んだ人を審くために栄光をもって再び来られるとき、永遠の命によみがえらせてください。父と聖霊とともに一体であって世々に生き支配しておられる主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン
旧約聖書 ゼカリヤ書 14:4-9
4その日、主は御足をもって/エルサレムの東にある/オリーブ山の上に立たれる。オリーブ山は東と西に半分に裂け/非常に大きな谷ができる。山の半分は北に退き、半分は南に退く。 5あなたたちはわが山の谷を通って逃げよ。山あいの谷はアツァルにまで達している。ユダの王ウジヤの時代に/地震を避けて逃れたように逃げるがよい。わが神なる主は、聖なる御使いたちと共に/あなたのもとに来られる。 6その日には、光がなく/冷えて、凍てつくばかりである。 7しかし、ただひとつの日が来る。その日は、主にのみ知られている。そのときは昼もなければ、夜もなく/夕べになっても光がある。 8その日、エルサレムから命の水が湧き出で/半分は東の海へ、半分は西の海へ向かい/夏も冬も流れ続ける。 9主は地上をすべて治める王となられる。その日には、主は唯一の主となられ/その御名は唯一の御名となる。
詩編 96:9-13 または 50:1-6 または 96
【96:9-13】
9 聖なる装いをもって主を拝め∥ 世界よ、み前で畏れおののけ
10 すべての国に告げ知らせよ、「主はすべての王∥ 大地の基は固められ、世界は堅く立って揺るがない、主は分け隔てなく民を審かれる」
11 天地は喜びに溢れ∥ 海とそこに満ちるものは叫びを上げる
12 野とそこにあるものはどよめき∥ 森の木々は声を上げて、主のみ前で喜び歌う
13 主は来られる、世界を審きに来られる∥ 正義とまことをもって、すべての民を審かれる
【50:1-6】
1 全能の神、主は語り∥ 日の出る所から沈む所まで大地に呼びかけられた
2 限りなく美しいシオン∥ 神はシオンから光を輝かされた
3 神は来られる、黙っておられる方ではない∥ み前には焼き尽くす火、その周りには激しい風
4 神はその民を審くため∥ 天と地を呼び寄せられる
5 「わたしの民を集めよ∥ いけにえを献げて契約を結ぶ民を」
6 天は神の正義を告げる∥ 神はすべてを審かれる
【96】
1 新しい歌を主に歌え∥ 世界よ、主に向かって歌え
2 主に歌い、み名をたたえよ∥ 日ごとに救いを告げ知らせよ
3 すべての国にその栄光を語り∥ すべての民に不思議なみ業を伝えよ
4 主は偉大、ほむべき方∥ すべての神にまさって恐るべき方
5 もろもろの神はすべてむなしい∥ 主は天を造られた
6 み前には輝きと威光∥ 聖所には力と栄え
7 諸国の民よ、主をほめよ∥ 栄えと力は主のもの
8 み名の栄光は主のもの∥ 献げ物を携えて中庭に入れ
9 聖なる装いをもって主を拝め∥ 世界よ、み前で畏れおののけ
10 すべての国に告げ知らせよ、「主はすべての王∥ 大地の基は固められ、世界は堅く立って揺るがない、主は分け隔てなく民を審かれる」
11 天地は喜びに溢れ∥ 海とそこに満ちるものは叫びを上げる
12 野とそこにあるものはどよめき∥ 森の木々は声を上げて、主のみ前で喜び歌う
13 主は来られる、世界を審きに来られる∥ 正義とまことをもって、すべての民を審かれる
使徒書 テサロニケの信徒への手紙一 3:9-13
9わたしたちは、神の御前で、あなたがたのことで喜びにあふれています。この大きな喜びに対して、どのような感謝を神にささげたらよいでしょうか。10顔を合わせて、あなたがたの信仰に必要なものを補いたいと、夜も昼も切に祈っています。11どうか、わたしたちの父である神御自身とわたしたちの主イエスとが、わたしたちにそちらへ行く道を開いてくださいますように。12どうか、主があなたがたを、お互いの愛とすべての人への愛とで、豊かに満ちあふれさせてくださいますように、わたしたちがあなたがたを愛しているように。13そして、わたしたちの主イエスが、御自身に属するすべての聖なる者たちと共に来られるとき、あなたがたの心を強め、わたしたちの父である神の御前で、聖なる、非のうちどころのない者としてくださるように、アーメン。
福音書 ルカによる福音書 21:25-31
25「それから、太陽と月と星に徴が現れる。地上では海がどよめき荒れ狂うので、諸国の民は、なすすべを知らず、不安に陥る。26人々は、この世界に何が起こるのかとおびえ、恐ろしさのあまり気を失うだろう。天体が揺り動かされるからである。27そのとき、人の子が大いなる力と栄光を帯びて雲に乗って来るのを、人々は見る。28このようなことが起こり始めたら、身を起こして頭を上げなさい。あなたがたの解放の時が近いからだ。」29それから、イエスはたとえを話された。「いちじくの木や、ほかのすべての木を見なさい。30葉が出始めると、それを見て、既に夏の近づいたことがおのずと分かる。31それと同じように、あなたがたは、これらのことが起こるのを見たら、神の国が近づいていると悟りなさい。
旧約聖書、使徒書、福音書は『聖書 新共同訳』より引用しました。
©︎共同訳聖書実行委員会
Executive Committee of The Common Bible Translation
©︎日本聖書協会
Japan Bible Society , Tokyo 1987,1988
特祷、詩編は『日本聖公会祈祷書』より引用しました。
©︎日本聖公会 1990