欅の坂みち 2025年4月

欅の坂みち 2025年4月

+主教イグナシオ

 2月末、主教館の庭にある梅の花が開き始め、気温は5月並みにもなりましたが、3月に入って今日と明日は関東でも雪の予報となり、季節は行きつ戻りつしながら少しずつ春へと向かっているようです。

 次の主日の準備のために聖書を開き黙想していく中で、疑問に思われるところがあって注解書を開くことがあります。今まで何気なく読み流してしまっていたところに引っ掛かりを憶えて調べていくと、分かっていたつもりだったことが実はよく分かっていなかったことに気付かされます。調べれば調べるほど、いかに自分が分かっていなかったかということが分かってきます。

 と同時に、今まで分かっていなかったことを知ることはとても興味深いものであり、また新たな発見であって喜びでもあります。そして、もっと知りたいという思いになるのですが、限られた時間の中では、必要なところまでにとどめてどこかで折り合いをつけ、その先はまた別の機会にということにしなければなりません。
私自身、物事を極めたなどということでは決してありませんが、実は、物事を深めれば深めるほど、自分がいかに分かっていなかったかが見えてきます。

 それは車の運転でも同様で、経験を積めば積むほどにこんな場面にはこんな危険が潜んでいるということが見えてきて、自ずと慎重にならざるを得ません。

 そして、自分が知らないこと、見えていなかったことは、それを調べれば調べるほどに却って疑問点はますます増えていき、どんどんとその深みにはまってしまうのですが、それはまた新たな発見に出会うという意味でとても楽しいことでもあります。

 知らないからこそ知ることを求めていくこと、そこに学ぶことの大きな喜びがあると思うのです。

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