「聖霊を受けなさい」聖霊降臨日

司祭 ダビデ 島田 征吾
(ヨハネによる福音書 第20章19節-23節)

聖霊について、聖書の中で様々な表現がなされています。イエスさまのご昇天の後に与えられたもうひとつの神さまであるというように福音書は伝えています。また、人間に内面から働きかけて神さまを感じさせてくれる力であるとか、命を与える神さまの聖なる力であるとか、神さまの愛の息吹であると表現されています。

また、私たちがイエスさまのことを神のみ子と認めるとき、イエスさまにお祈りするとき、イエスさまの教えに従って歩もうとするとき、それは聖霊が働いてくださった結果であると聖書は伝えています。聖霊なる神さまは、いつも私たち一人ひとりの中にいて守り導いてくださっていて、また、教会共同体も、聖霊なる神さまに守り導かれています。

 「聖霊」は原語のギリシャ語では「プネウマ」、動いている空気、風、息、霊、生命の本源、などの意味の語です。また、「サクラメント」は、聖公会ではせいてん、ローマ・カトリック教会では秘跡、正教会では機密と、それぞれに訳していますが、原語のギリシャ語では「ミステリオン」、秘義としての神さまの神意やご計画、今は隠されているけれどもやがて明かされる神さまの意図や目的、などの意味の語です。

私たちが聖霊の賜物を最初にいただくのは洗礼のサクラメントによってでしょう。その後は生涯を通して、堅信、聖餐、塗油など、サクラメントを通して聖霊の力を感じ取っていきます。そして、この世の生涯の最後にいただくサクラメントは罪の赦しになるのでしょう。しかし、サクラメントは、イエスさまに倣って歩もうと願わなければお恵みにはなりません。洗礼を受けたから自動的に聖人になるわけでも、懺悔してご聖体を拝領したから自動的に善人になるわけでもありません。キリスト者は、洗礼のサクラメントによって信仰に導き入れられたときから、あらゆる悪魔の誘惑と闘うことになります。イエスさまのご聖体を拝領したなら、受けたイエスさまを自らの日常生活の中で現わすよう努めることを、懺悔によって赦しを得たなら、人を赦すことに努めることを、神さまは望まれています。神さまに依らなければ、イエスさまに倣わなければ、聖霊に頼らなければ、私たちは悪魔の誘惑には勝てませんし、人を赦すこともできないのです。

「彼らに息を吹きかけて言われた。『聖霊を受けなさい。だれの罪でも、あなたがたが赦せば、その罪は赦される。だれの罪でも、あなたがたが赦さなければ、赦されないまま残る。』」

使徒達に連なる聖なる公会に与えられた大いなるサクラメントです。私たちは教会での赦しによって救われています。

神さまは、私たちの、誰にも話せないような弱さ、罪、孤独を、すべて分かってくださっていて、きっと、ハラハラしながら私たちのことを見守っていてくださるのでしょう。み心に応え、聖霊に従い、イエスさまに倣う生き方を求めていましょう。

(横浜山手聖公会牧師)

(『横浜教区報』2025年6月号巻頭言より)

特祷

全能の神よ、この日あなたは、約束された聖霊の降臨によって、すべての民族、国民に永遠の命の道を開かれました。どうか福音の宣教によって、この聖霊がますます世界に注がれ、地の果てにまで広がりますように、聖霊の一致のうちに父と一体であり、世々に生き支配しておられる主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン

神よ、あなたはこの時に聖霊を降し、そのみ光によってみ民の心を照らしてくださいました。どうかわたしたちも同じ聖霊によって万事を誤りなくわきまえ、常にそのみ助けを喜ぶことができますように、父と聖霊とともに一体であって世々に生き支配しておられる主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン

使徒言行録2:1-11 または ヨエル書 3:1-5

【使徒言行録 2:1-11】
1五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、 2突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。 3そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。 4すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。 5さて、エルサレムには天下のあらゆる国から帰って来た、信心深いユダヤ人が住んでいたが、 6この物音に大勢の人が集まって来た。そして、だれもかれも、自分の故郷の言葉が話されているのを聞いて、あっけにとられてしまった。 7人々は驚き怪しんで言った。「話をしているこの人たちは、皆ガリラヤの人ではないか。 8どうしてわたしたちは、めいめいが生まれた故郷の言葉を聞くのだろうか。 9わたしたちの中には、パルティア、メディア、エラムからの者がおり、また、メソポタミア、ユダヤ、カパドキア、ポントス、アジア、10フリギア、パンフィリア、エジプト、キレネに接するリビア地方などに住む者もいる。また、ローマから来て滞在中の者、11ユダヤ人もいれば、ユダヤ教への改宗者もおり、クレタ、アラビアから来た者もいるのに、彼らがわたしたちの言葉で神の偉大な業を語っているのを聞こうとは。」

【ヨエル書 3:1-5】
1その後/わたしはすべての人にわが霊を注ぐ。あなたたちの息子や娘は預言し/老人は夢を見、若者は幻を見る。 2その日、わたしは/奴隷となっている男女にもわが霊を注ぐ。 3天と地に、しるしを示す。それは、血と火と煙の柱である。 4主の日、大いなる恐るべき日が来る前に/太陽は闇に、月は血に変わる。 5しかし、主の御名を呼ぶ者は皆、救われる。主が言われたように/シオンの山、エルサレムには逃れ場があり/主が呼ばれる残りの者はそこにいる。

詩編 104:30-35 または  104:24-35 または 148

【第104編】
24      主よ、あなたが造られたものは数えきれない∥ 知恵によって形造られたものは地に満ちている
25      はるかに広がる海の中には、造られた物は数知れず∥ 大小さまざまの生き物が泳ぐ
26      その上を船が行き交い∥ あなたが造られたレビヤタンもそこに戯れる
27      命あるすべてのものはあなたを待ち望み∥ あなたは必要なときに食物を与えられる
28      あなたが与えられるものを彼らは集め∥ あなたがみ手を開くと、彼らは良いもので満たされる
29      あなたがみ顔を隠されると彼らはあわてふためき∥ 息を止められるとすべては滅び、塵に戻る
30      あなたが息を送られると、すべては生き∥ 地の面は新たになる
31      主の栄光はとこしえに∥ 主がそのみ業を喜ばれるように
32      神が目を注がれると、地は揺れ動き∥ 山々に触れられると煙を吐く
33      わたしは生涯、主に向かって歌い∥ 命ある限り神をたたえよう
34      わたしの思いが神の前に喜ばれるように∥ わたしは主のうちにあって喜ぶ
35      罪人が地上から姿を消し、悪人がいなくなるように∥ 主をたたえよ、わたしの魂よ、ハレルヤ

【第148編】
1       ハレルヤ、天において主をたたえよ∥ 高い所で主をたたえよ
2       み使いよ、主をたたえよ、天の万軍よ、主をたたえよ
3       太陽と月よ、主をたたえよ∥ きらめく星よ、主をたたえよ
4       大空よ、主をたたえよ∥ 天の上の水よ、主をたたえよ
5       神のみ言葉で造られたすべてのものよ∥ 主のみ名をたたえよ
6       神は造られたものにおきてを与え∥ とこしえにそれらを堅くされた
7       地において、主をたたえよ∥ 海とそこに住むものよ、主をたたえよ
8       稲妻とあられ、雪と霜よ、主をたたえよ∥ み言葉を成し遂げる嵐よ、主をたたえよ
9       山と丘よ、主をたたえよ∥ 実を結ぶ木、すべての杉よ、主をたたえよ
10      野の獣、すべての家畜よ、主をたたえよ∥ 地をはうもの、翼ある鳥よ、主をたたえよ
11      地を治める王、すべての民よ、主をたたえよ∥ すべての支配者、裁き人よ、主をたたえよ
12      若者とおとめたちよ、主をたたえよ∥ 年老いた者、子供たちよ、主をたたえよ
13      すべての者よ、主のみ名をたたえよ∥ み名のみがあがめられ、その栄光は天地を覆う
14      神は、その民の角を上げられた∥ すべての忠実な僕たち、イスラエルの子らは賛美の声を上げる、ハレルヤ

使徒書 コリントの信徒への手紙一 12:4-13 または 使徒言行録 2:1-11

【コリントの信徒への手紙一 12:4-13】
4賜物にはいろいろありますが、それをお与えになるのは同じ霊です。 5務めにはいろいろありますが、それをお与えになるのは同じ主です。 6働きにはいろいろありますが、すべての場合にすべてのことをなさるのは同じ神です。 7一人一人に“霊”の働きが現れるのは、全体の益となるためです。 8ある人には“霊”によって知恵の言葉、ある人には同じ“霊”によって知識の言葉が与えられ、 9ある人にはその同じ“霊”によって信仰、ある人にはこの唯一の“霊”によって病気をいやす力、10ある人には奇跡を行う力、ある人には預言する力、ある人には霊を見分ける力、ある人には種々の異言を語る力、ある人には異言を解釈する力が与えられています。11これらすべてのことは、同じ唯一の“霊”の働きであって、“霊”は望むままに、それを一人一人に分け与えてくださるのです。12体は一つでも、多くの部分から成り、体のすべての部分の数は多くても、体は一つであるように、キリストの場合も同様である。13つまり、一つの霊によって、わたしたちは、ユダヤ人であろうとギリシア人であろうと、奴隷であろうと自由な身分の者であろうと、皆一つの体となるために洗礼を受け、皆一つの霊をのませてもらったのです。

福音書 ヨハネによる福音書 20:19-23 または 14:8-17

【ヨハネによる福音書 20:19-23】
19その日、すなわち週の初めの日の夕方、弟子たちはユダヤ人を恐れて、自分たちのいる家の戸に鍵をかけていた。そこへ、イエスが来て真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。20そう言って、手とわき腹とをお見せになった。弟子たちは、主を見て喜んだ。21イエスは重ねて言われた。「あなたがたに平和があるように。父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす。」22そう言ってから、彼らに息を吹きかけて言われた。「聖霊を受けなさい。23だれの罪でも、あなたがたが赦せば、その罪は赦される。だれの罪でも、あなたがたが赦さなければ、赦されないまま残る。」

【ヨハネによる福音書 14:8-17】
8フィリポが「主よ、わたしたちに御父をお示しください。そうすれば満足できます」と言うと、 9イエスは言われた。「フィリポ、こんなに長い間一緒にいるのに、わたしが分かっていないのか。わたしを見た者は、父を見たのだ。なぜ、『わたしたちに御父をお示しください』と言うのか。10わたしが父の内におり、父がわたしの内におられることを、信じないのか。わたしがあなたがたに言う言葉は、自分から話しているのではない。わたしの内におられる父が、その業を行っておられるのである。11わたしが父の内におり、父がわたしの内におられると、わたしが言うのを信じなさい。もしそれを信じないなら、業そのものによって信じなさい。12はっきり言っておく。わたしを信じる者は、わたしが行う業を行い、また、もっと大きな業を行うようになる。わたしが父のもとへ行くからである。13わたしの名によって願うことは、何でもかなえてあげよう。こうして、父は子によって栄光をお受けになる。14わたしの名によって何かを願うならば、わたしがかなえてあげよう。」15「あなたがたは、わたしを愛しているならば、わたしの掟を守る。16わたしは父にお願いしよう。父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる。17この方は、真理の霊である。世は、この霊を見ようとも知ろうともしないので、受け入れることができない。しかし、あなたがたはこの霊を知っている。この霊があなたがたと共におり、これからも、あなたがたの内にいるからである。

旧約聖書、使徒書、福音書は『聖書 新共同訳』より引用しました。
©︎共同訳聖書実行委員会
Executive Committee of The Common Bible Translation
©︎日本聖書協会
Japan Bible Society , Tokyo 1987,1988

特祷、詩編は『日本聖公会祈祷書』より引用しました。
©︎日本聖公会 1990

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