執事 ステパノ 髙野 洋
(ルカによる福音書 第2章22節―40節)
神殿に来たイエス様の両親の前に二人の年老いた老人が現れます。その内の一人はシメオンという信仰に厚い敬虔な人です。この人はきっと神殿の近くに住んでいて、神殿に通いながら日々を過ごしていたのでしょう。イスラエルの人々が神さまに感謝して生き生きと幸せに生活ができるようにと、そんな祈りを毎日繰り返しながら、神さまの預言が成就することを願っています。そのことで、神さまの霊がシメオンに働きかけをしていました。それは、「主が遣わすメシアに会うまでは決して死なない」とのお告げです。シメオンが赤ちゃんイエス様を見つけるなり、両親から赤ちゃんイエス様を抱かせてもらいます。そして言いました。「主よ、今こそあなたは、お言葉どおり、この僕を安らかに去らせてくださいます。わたしはこの目であなたの救いを見たからです。これは万民のために整えてくださった救いで、異邦人を照らす啓示の光、あなたの民イスラエルの誉です。」シメオンは今、まさに、来るべき方を見届けるという使命を成し遂げました。そして、シメオンは、待ち望む時がこれで終わり、成就の時が始まったのだと強く確信しました。“イスラエルの慰められるのを待ち望み”(ルカ二・二五)とあったのですが、今や「万民のため」に変わりました。イエス様を抱いたシメオンは、もはやユダヤ人に限定されない、神さまは、すべての民を救われるのだということを感じ取ったのです。さらにシメオンは言います。「御覧なさい。この子は、イスラエルの多くの人々を倒したり立ち上がらせたりするためにと定められています。」と。
「倒したり、立ち上がらせたり」というのはイスラエルが二分されることを示唆しています。この物語は、新しい時代の始まりを告げており、そのために分断が起きるというのです。分断と言うと、まさに現在の世の中を連想させられます。大きな変化が起こるときには分断はつきものなのかもしれません。今、世の中で起きている戦争や紛争などの諸問題は世の中が新しく変わって行くために必要な事なのかもしれません。
現代の対立は、正しいと思えないようなことを強く支持する人々がいて、従来からの正義を守ろうとする人々と対立しているように感じます。どうしてこのような状況が生じているのか分かりませんが、この対立の先には何か新しいことがあるのかもしれません。一方、イエス様は、戦争や紛争の犠牲になるのは弱くされた人々ところに行き、がんじがらめになっている人たちを解放する中で真の問題をあぶりだして行かれたように思います。ですから、分断の只中に置かれたならば、その中で弱くされた人たちのことをまず意識することが重要なのではないでしょうか。
このところ教会内では組織の存続が一番の課題で、弱くされた人のことは優先順位が下がってしまっているかもしれません。キリストの教えを伝え続けるため、神さまと人をつなぐ役割を果たし続けるために体制の維持は重要です。とは言え、分断の中で弱くされている人のことを、少しだけでも意識し、万民の救いを祈りたいものです。
(鎌倉聖ミカエル教会牧師補)
(『横浜教区報』2026年2月号 巻頭言より)
特祷・聖餐式聖書日課
特祷
永遠にいます全能の神よ、この日、独りのみ子は、律法に従い神殿において献げられ、主の民の栄光、諸国民の光として迎えられました。どうかわたしたちも主にあってみ前に献げられ、この世において主の栄光を現すことができますように、主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン
旧約聖書 マラキ書 3:1-4
1見よ、わたしは使者を送る。彼はわが前に道を備える。あなたたちが待望している主は/突如、その聖所に来られる。あなたたちが喜びとしている契約の使者/見よ、彼が来る、と万軍の主は言われる。 2だが、彼の来る日に誰が身を支えうるか。彼の現れるとき、誰が耐えうるか。彼は精錬する者の火、洗う者の灰汁のようだ。 3彼は精錬する者、銀を清める者として座し/レビの子らを清め/金や銀のように彼らの汚れを除く。彼らが主に献げ物を/正しくささげる者となるためである。 4そのとき、ユダとエルサレムの献げ物は/遠い昔の日々に/過ぎ去った年月にそうであったように/主にとって好ましいものとなる。
詩編 51:15-19 または 84:1-7 または 84
51編15-19
15 主よ、わたしの口を開いてください∥ わたしはあなたの誉れを告げ知らせる
16 あなたはいけにえを望まれず∥ 燔祭を献げても喜ばれない
17 神よ、わたしの献げ物は砕かれた心∥ あなたは悔い改める心を見捨てられない
18 み旨のままにシオンを恵みで潤し∥ エルサレムの城壁を新たにしてください
19 そのとき、あなたは正しい献げ物を喜ばれ∥ わたしたちはあなたの祭壇で仕えるようになる
84編
1 万軍の主よ∥ あなたのみ住まいは麗しい
2 わたしの魂は主の庭を慕い∥ 心を込めてあなたの命を喜び歌う
3 万軍の神、わたしの王、わたしの神よ∥ あなたの祭壇の傍らに、雀は住みかを見つけ、燕は巣を作ってひなを育てる
4 幸せな人、あなたの家を住まいとし∥ 絶えずあなたをたたえる人
5 幸せな人∥ あなたによって奮い立ち、巡礼を志す人
6 かれた谷を通るとき、彼らはそこを泉とし∥ 秋の雨の祝福を受ける
7 力から力へと強められて進み∥ シオンであなたを仰ぎ見る
8 万軍の神、主よ、わたしの祈りに心を留め∥ ヤコブの神よ、耳を傾けてください
9 神よ、わたしたちの盾よ∥ 油を注がれた者を顧みてください
10 あなたの庭で過ごす一日は、千日にもまさる∥ あなたに逆らう者の幕屋にとどまるより、あなたに家の門守としてください
11 神よ、あなたは光り輝く盾。恵みと栄えを与え∥ とがなく歩む者に幸せを拒まれない
12 神よ、万軍の主よ∥ あなたに寄り頼む人は幸せ
使徒書 ヘブライ人への手紙 2:14-18
14ところで、子らは血と肉を備えているので、イエスもまた同様に、これらのものを備えられました。それは、死をつかさどる者、つまり悪魔を御自分の死によって滅ぼし、15死の恐怖のために一生涯、奴隷の状態にあった者たちを解放なさるためでした。16確かに、イエスは天使たちを助けず、アブラハムの子孫を助けられるのです。17それで、イエスは、神の御前において憐れみ深い、忠実な大祭司となって、民の罪を償うために、すべての点で兄弟たちと同じようにならねばならなかったのです。18事実、御自身、試練を受けて苦しまれたからこそ、試練を受けている人たちを助けることがおできになるのです。
福音書 ルカによる福音書 2:22-40
22さて、モーセの律法に定められた彼らの清めの期間が過ぎたとき、両親はその子を主に献げるため、エルサレムに連れて行った。23それは主の律法に、「初めて生まれる男子は皆、主のために聖別される」と書いてあるからである。24また、主の律法に言われているとおりに、山鳩一つがいか、家鳩の雛二羽をいけにえとして献げるためであった。25そのとき、エルサレムにシメオンという人がいた。この人は正しい人で信仰があつく、イスラエルの慰められるのを待ち望み、聖霊が彼にとどまっていた。26そして、主が遣わすメシアに会うまでは決して死なない、とのお告げを聖霊から受けていた。27シメオンが“霊”に導かれて神殿の境内に入って来たとき、両親は、幼子のために律法の規定どおりにいけにえを献げようとして、イエスを連れて来た。28シメオンは幼子を腕に抱き、神をたたえて言った。29「主よ、今こそあなたは、お言葉どおり/この僕を安らかに去らせてくださいます。30わたしはこの目であなたの救いを見たからです。31これは万民のために整えてくださった救いで、32異邦人を照らす啓示の光、/あなたの民イスラエルの誉れです。」33父と母は、幼子についてこのように言われたことに驚いていた。34シメオンは彼らを祝福し、母親のマリアに言った。「御覧なさい。この子は、イスラエルの多くの人を倒したり立ち上がらせたりするためにと定められ、また、反対を受けるしるしとして定められています。35――あなた自身も剣で心を刺し貫かれます――多くの人の心にある思いがあらわにされるためです。」36また、アシェル族のファヌエルの娘で、アンナという女預言者がいた。非常に年をとっていて、若いとき嫁いでから七年間夫と共に暮らしたが、37夫に死に別れ、八十四歳になっていた。彼女は神殿を離れず、断食したり祈ったりして、夜も昼も神に仕えていたが、38そのとき、近づいて来て神を賛美し、エルサレムの救いを待ち望んでいる人々皆に幼子のことを話した。39親子は主の律法で定められたことをみな終えたので、自分たちの町であるガリラヤのナザレに帰った。40幼子はたくましく育ち、知恵に満ち、神の恵みに包まれていた。
旧約聖書、使徒書、福音書は『聖書 新共同訳』より引用しました。
©︎共同訳聖書実行委員会
Executive Committee of The Common Bible Translation
©︎日本聖書協会
Japan Bible Society, Tokyo 1987,1988
特祷、詩編は『日本聖公会祈祷書』より引用しました。
©︎日本聖公会 1990




