「心備える―信仰―」大斎節第5主日

司祭 ペテロ 松田 浩
(ヨハネによる福音書第11章17節―44節)

 私たちは、ラザロを通してイエス様が示された奇跡を通して、イエス様がご復活くださる時を迎える心の準備をするようにと教えられています。

 この奇跡の中でイエス様は、今までお見せになられたことのないような感情を露わにされておられます。「心に憤りを覚え、興奮して言われた」「イエスは涙を流された」イエス様は、なぜ涙を流され、なぜ憤りを覚えられたのでしょうか。

 イエス様は、悲しむ人と共に悲しみ、苦しむ人と共に苦しみ、泣く人と共に泣く方で、姉妹の悲しむ心をまっすぐに受け取られたとのだと思います。しかし、「心に憤りを覚え」とも記されています。イエス様の心の憤りは何に対する憤りだったのでしょうか。

 それはご自身が愛しておられ、ご自身にすべてを委ね肉体的な生を歩んでいる人々の思いに答えることができなかったご自身に対して、そして、「盲人の目を開けたこの人も、ラザロが死なないようにはできなかったのか」という、神様の力を否定したような言葉。さらに、なすすべもなく、ただ嘆き悲しんでいる人々に対して憤り、涙しておられたのではないでしょうか。

 私たちは神様が、生きている者の神様であり、この世を支配しておられる方であり、同時に、この世を離れた者の神様であり、この世を離れた者の世界も支配される方であられると信じています。

 ヨハネによる福音書に次のようなイエス様の言葉があります。「驚いてはならない。時が来ると、墓の中にいる者は皆、人の子の声を聞き、善を行った者は復活して命を受けるために、悪を行った者は復活して裁きを受けるために出て来るのだ。」イエス様は死に打ち勝ち、永遠の命をもたらしてくださった方であることを改めて心におぼえる時が与えられています。

 イエス様は仰られました。「あなたの兄弟は復活する。わたしは復活であり、命である。わたしを信じる者は、死んでも生きる。生きていてわたしを信じる者はだれも、決して死ぬことはない。このことを信じるか。」

 イエス・キリストを信じる私たちのために十字架にかかられたイエス様を信じる、死人をよみがえらせることができる神様のみ力を信じる者は、自身が肉体において、この世を離れる経験をするにしても、新しい命が与えられて生き返らされるということを信じることができるのだと思います。

 ラザロの復活の出来事のあと、多くの人たちはイエス様を信じました。しかし一方で、この後、祭司長、長老、律法学者たちは、イエス様を殺す計画をすすめていくことになります。

 聖マリアは、イエス様を身ごもられたと天使から聞かされた時、想像もつかない驚きと恐れに包まれました。しかし「お言葉どおり、この身になりますように」と自らの信仰を言い表されました。私たちの信仰が聖マリアの信仰のように、いかなる時も、主の器としてもちいていただけるよう、残りの大斎節、聖なる三位一体の神様を見つめ、主のご復活の喜びの時を迎える時のために心を備え、祈りのうちに歩んで参りましょう。

(藤沢聖マルコ教会牧師)
(秦野聖ルカ教会管理牧師)

(『横浜教区報』2026年3月号 巻頭言より)

特祷・聖餐式聖書日課

特祷

全能の神よ、み子イエス・キリストは大祭司として来られ、その血をもって至聖所に入り、ただひとたび永遠の贖いを全うされました。どうかご自身を神にささげられたキリストの血によって、わたしたちの良心を死に至る行いから清め、あなたに仕えさせてください。主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン

旧約聖書 エゼキエル書 37:1-3,(4-10),11-14

1主の手がわたしの上に臨んだ。わたしは主の霊によって連れ出され、ある谷の真ん中に降ろされた。そこは骨でいっぱいであった。 2主はわたしに、その周囲を行き巡らせた。見ると、谷の上には非常に多くの骨があり、また見ると、それらは甚だしく枯れていた。 3そのとき、主はわたしに言われた。「人の子よ、これらの骨は生き返ることができるか。」わたしは答えた。「主なる神よ、あなたのみがご存じです。」 4そこで、主はわたしに言われた。「これらの骨に向かって預言し、彼らに言いなさい。枯れた骨よ、主の言葉を聞け。 5これらの骨に向かって、主なる神はこう言われる。見よ、わたしはお前たちの中に霊を吹き込む。すると、お前たちは生き返る。 6わたしは、お前たちの上に筋をおき、肉を付け、皮膚で覆い、霊を吹き込む。すると、お前たちは生き返る。そして、お前たちはわたしが主であることを知るようになる。」 7わたしは命じられたように預言した。わたしが預言していると、音がした。見よ、カタカタと音を立てて、骨と骨とが近づいた。 8わたしが見ていると、見よ、それらの骨の上に筋と肉が生じ、皮膚がその上をすっかり覆った。しかし、その中に霊はなかった。 9主はわたしに言われた。「霊に預言せよ。人の子よ、預言して霊に言いなさい。主なる神はこう言われる。霊よ、四方から吹き来れ。霊よ、これらの殺されたものの上に吹きつけよ。そうすれば彼らは生き返る。」10わたしは命じられたように預言した。すると、霊が彼らの中に入り、彼らは生き返って自分の足で立った。彼らは非常に大きな集団となった。11主はわたしに言われた。「人の子よ、これらの骨はイスラエルの全家である。彼らは言っている。『我々の骨は枯れた。我々の望みはうせ、我々は滅びる』と。12それゆえ、預言して彼らに語りなさい。主なる神はこう言われる。わたしはお前たちの墓を開く。わが民よ、わたしはお前たちを墓から引き上げ、イスラエルの地へ連れて行く。13わたしが墓を開いて、お前たちを墓から引き上げるとき、わが民よ、お前たちはわたしが主であることを知るようになる。14また、わたしがお前たちの中に霊を吹き込むと、お前たちは生きる。わたしはお前たちを自分の土地に住まわせる。そのとき、お前たちは主であるわたしがこれを語り、行ったことを知るようになる」と主は言われる。

詩編 130

130編

1 主よ、深い淵からあなたに叫び∥ 嘆き祈るわたしの声を聞いてください
2 主よ、あなたが目を留められるなら∥ 主よ、だれがあなたの前に立ちえよう
3 しかし、あなたの赦しのために∥ 人はあなたを畏れかしこむ
4 わたしは主を待ち望む、わたしの魂は待ち望む∥ わたしはみ言葉に寄り頼む
5 夜回りが暁を待ち望むにもまして∥ わたしの魂は主を待ち望む
6 イスラエルよ、主に寄り頼め∥ 主はゆたかな贖いに満ち、慈しみ深い
7 神は、すべての罪から∥ イスラエルを救われる

使徒書 ローマの信徒への手紙 6:16-23

16知らないのですか。あなたがたは、だれかに奴隷として従えば、その従っている人の奴隷となる。つまり、あなたがたは罪に仕える奴隷となって死に至るか、神に従順に仕える奴隷となって義に至るか、どちらかなのです。17しかし、神に感謝します。あなたがたは、かつては罪の奴隷でしたが、今は伝えられた教えの規範を受け入れ、それに心から従うようになり、18罪から解放され、義に仕えるようになりました。19あなたがたの肉の弱さを考慮して、分かりやすく説明しているのです。かつて自分の五体を汚れと不法の奴隷として、不法の中に生きていたように、今これを義の奴隷として献げて、聖なる生活を送りなさい。20あなたがたは、罪の奴隷であったときは、義に対しては自由の身でした。21では、そのころ、どんな実りがありましたか。あなたがたが今では恥ずかしいと思うものです。それらの行き着くところは、死にほかならない。22あなたがたは、今は罪から解放されて神の奴隷となり、聖なる生活の実を結んでいます。行き着くところは、永遠の命です。23罪が支払う報酬は死です。しかし、神の賜物は、わたしたちの主キリスト・イエスによる永遠の命なのです。

福音書 ヨハネによる福音書 11:(1-16),17-44

1ある病人がいた。マリアとその姉妹マルタの村、ベタニアの出身で、ラザロといった。 2このマリアは主に香油を塗り、髪の毛で主の足をぬぐった女である。その兄弟ラザロが病気であった。 3姉妹たちはイエスのもとに人をやって、「主よ、あなたの愛しておられる者が病気なのです」と言わせた。 4イエスは、それを聞いて言われた。「この病気は死で終わるものではない。神の栄光のためである。神の子がそれによって栄光を受けるのである。」 5イエスは、マルタとその姉妹とラザロを愛しておられた。 6ラザロが病気だと聞いてからも、なお二日間同じ所に滞在された。 7それから、弟子たちに言われた。「もう一度、ユダヤに行こう。」 8弟子たちは言った。「ラビ、ユダヤ人たちがついこの間もあなたを石で打ち殺そうとしたのに、またそこへ行かれるのですか。」 9イエスはお答えになった。「昼間は十二時間あるではないか。昼のうちに歩けば、つまずくことはない。この世の光を見ているからだ。10しかし、夜歩けば、つまずく。その人の内に光がないからである。」11こうお話しになり、また、その後で言われた。「わたしたちの友ラザロが眠っている。しかし、わたしは彼を起こしに行く。」12弟子たちは、「主よ、眠っているのであれば、助かるでしょう」と言った。13イエスはラザロの死について話されたのだが、弟子たちは、ただ眠りについて話されたものと思ったのである。14そこでイエスは、はっきりと言われた。「ラザロは死んだのだ。15わたしがその場に居合わせなかったのは、あなたがたにとってよかった。あなたがたが信じるようになるためである。さあ、彼のところへ行こう。」16すると、ディディモと呼ばれるトマスが、仲間の弟子たちに、「わたしたちも行って、一緒に死のうではないか」と言った。17さて、イエスが行って御覧になると、ラザロは墓に葬られて既に四日もたっていた。18ベタニアはエルサレムに近く、十五スタディオンほどのところにあった。19マルタとマリアのところには、多くのユダヤ人が、兄弟ラザロのことで慰めに来ていた。20マルタは、イエスが来られたと聞いて、迎えに行ったが、マリアは家の中に座っていた。21マルタはイエスに言った。「主よ、もしここにいてくださいましたら、わたしの兄弟は死ななかったでしょうに。22しかし、あなたが神にお願いになることは何でも神はかなえてくださると、わたしは今でも承知しています。」23イエスが、「あなたの兄弟は復活する」と言われると、24マルタは、「終わりの日の復活の時に復活することは存じております」と言った。25イエスは言われた。「わたしは復活であり、命である。わたしを信じる者は、死んでも生きる。26生きていてわたしを信じる者はだれも、決して死ぬことはない。このことを信じるか。」27マルタは言った。「はい、主よ、あなたが世に来られるはずの神の子、メシアであるとわたしは信じております。」28マルタは、こう言ってから、家に帰って姉妹のマリアを呼び、「先生がいらして、あなたをお呼びです」と耳打ちした。29マリアはこれを聞くと、すぐに立ち上がり、イエスのもとに行った。30イエスはまだ村には入らず、マルタが出迎えた場所におられた。31家の中でマリアと一緒にいて、慰めていたユダヤ人たちは、彼女が急に立ち上がって出て行くのを見て、墓に泣きに行くのだろうと思い、後を追った。32マリアはイエスのおられる所に来て、イエスを見るなり足もとにひれ伏し、「主よ、もしここにいてくださいましたら、わたしの兄弟は死ななかったでしょうに」と言った。33イエスは、彼女が泣き、一緒に来たユダヤ人たちも泣いているのを見て、心に憤りを覚え、興奮して、34言われた。「どこに葬ったのか。」彼らは、「主よ、来て、御覧ください」と言った。35イエスは涙を流された。36ユダヤ人たちは、「御覧なさい、どんなにラザロを愛しておられたことか」と言った。37しかし、中には、「盲人の目を開けたこの人も、ラザロが死なないようにはできなかったのか」と言う者もいた。38イエスは、再び心に憤りを覚えて、墓に来られた。墓は洞穴で、石でふさがれていた。39イエスが、「その石を取りのけなさい」と言われると、死んだラザロの姉妹マルタが、「主よ、四日もたっていますから、もうにおいます」と言った。40イエスは、「もし信じるなら、神の栄光が見られると、言っておいたではないか」と言われた。41人々が石を取りのけると、イエスは天を仰いで言われた。「父よ、わたしの願いを聞き入れてくださって感謝します。42わたしの願いをいつも聞いてくださることを、わたしは知っています。しかし、わたしがこう言うのは、周りにいる群衆のためです。あなたがわたしをお遣わしになったことを、彼らに信じさせるためです。」43こう言ってから、「ラザロ、出て来なさい」と大声で叫ばれた。44すると、死んでいた人が、手と足を布で巻かれたまま出て来た。顔は覆いで包まれていた。イエスは人々に、「ほどいてやって、行かせなさい」と言われた。

旧約聖書、使徒書、福音書は『聖書 新共同訳』より引用しました。
©︎共同訳聖書実行委員会
Executive Committee of The Common Bible Translation
©︎日本聖書協会
Japan Bible Society, Tokyo 1987,1988

特祷、詩編は『日本聖公会祈祷書』より引用しました。
©︎日本聖公会 1990

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