ちいさな手 23号「子どもたちとともに〜エリザベス・サンダース・ホームは今」

ちいさな手, 新着情報, 諸委員会からの案内:2021年07月1日

ちいさな手 23号 目次

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子どもたちとともに〜エリザベスサンダースホームは今

子どもたち一人ひとりに、かけがえのない出会いがあります。それは、当たり前のように過ぎゆく、暮らしの中にあるものなのかも知れません。今日も、明日も、明後日も、変わらない暮らしがあるということが、どんなに幸せかということを、あらためて感じた一年間でした。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ささやかな暮らしが脅かされる事態となりました。昨年の春に緊急事態宣言が発令されたことで、各学校は臨時休校となり、宣言解除後も時差登校や短縮授業等の感染予防対策が講じられ、夏期及び冬期休暇が短縮されるなど、その影響は年間を通じて続きました。不要不急の外出自粛に伴って、園の行事もほとんどが中止となり、誕生日の外食に行くことも、長期休暇中のおでかけに行くこともできませんでした。友人との付き合い方、家族との過ごし方にも変化があったため、さびしい思いをした子どもも少なくありません。未知のウイルスは何をもたらすのだろうか、この先どうなってしまうのだろうか、と不安な思いを抱えた日々が思い返されます。

 心配事や不安が膨らむばかりのときだからこそ、私たちは前を向くように心がけました。子どもたちが描く未来とは、悲観するものではなく、無限の可能性に溢れた、明るく照らされたものであってほしい、と願うからです。何もできない、どこにも行けないと考えるのではなく、お家で過ごす時間が増えたと捉えなおして、子どもたちと話し合いながら、豊かな暮らしを創るために力を合わせました。日々の暮らしで感染予防対策を講じながら、毎日の食事を彩るために新メニューを開発したり、配膳方式でバーベキューをしたり、食べる楽しみをともにしました。園内のスクリーンを使って映画の上映会を企画し、人数制限や座席を指定する等、願いを叶えるだけでなく、マナーを伝えるための工夫をこらしました。巣ごもり計画と称して、お家時間を充実させるための買い物を企画し、何が必要かを話し合いながら、彩りのある暮らしを創出しました。遊びのフィールドを拡げるために、バドミントンコートを設置したり、青空の下で卓球大会を開催したり、寮対抗ゲーム大会(美味しいケーキのお土産付)を行ったりしました。生命の安全を第一としながらも、色鮮やかなアイデアによって、同じ時間を共有することの素晴らしさを分かち合うことができました。

 この春、チャプレンの島田司祭にお越しいただき、創設者の澤田美喜園長邸(ママちゃまハウス)前の広場で、高校を卒業して新たな歩みをはじめる子どもたちを祝福するために、卒園礼拝を捧げました。大学等に進学する子ども、就労する子どもに思いを寄せて、エリザベス・サンダース・ホームで暮らす子どもたち、身近で見守ってきた職員が、一人ひとりの人生が素晴らしい歩みとなりますように、と心を合わせました。皆がマスクを着用していたため、表情は見えにくくなりましたが、スーツ姿の子どもたちを、優しく温かなまなざしが包みます。朝寝坊ばかりしていたあの子は、きちんと仕事に行けるだろうか。好き嫌いの多いあの子は、インスタント食品ばかりにならないだろうか。片付けが苦手なあの子は、適度に掃除をすることができるだろうか。新しい環境に戸惑っていないだろうか。良好な人間関係を築くことができるだろうか。この先も、きっと心配ごとはつきません。だからこそ、連絡をとり合って、職場に行ったり、家に行ったり、実際に会って、顔を合わせて話をします。それは、ただ単に心配だから、おせっかいをやいているわけではありません。子どもたち一人ひとりを信じているからこそ、人とひととがつながっていること、つながれるということを伝えていくためでもあるのです。

 時代とともに、社会の在り方や暮らしの様式が変わったとしても、私たちにとって最も大切なのは、子どもたちであることに変わりはありません。いつの日も、子どもたちの声に耳を傾けます。目の前にいる子どもは、どうなりたいと思っているのだろうか。それぞれが描く夢の実現に向かって、充実した日々を過ごせているのだろうか。いつの日か、巣立ちゆくからこそ、生きていくための糧となるように、ありのままを受け止め続けます。厳しい季節を乗り越えて春が訪れるように、子どもたちが幸せな日々に恵まれることを願って。子どもらしさを存分に発揮し、充実した子ども時代を過ごせるように。

山田和信 (児童養護施設エリザベス・サンダース・ホーム 施設長)


ときわ平こども食堂(松戸聖パウロ教会)

当教会信徒の丹治隆雄さんから、「ときわ平こども食堂」が場所を探していて、教会を使わせてもらえないだろうか、という話があったのが、2020年の春の頃でしょうか。今から4年前に、駅前の沖縄料理の店を借りて始まったのですが、コロナの影響で閉店し、別の場所を求めていたのです。実はその働きを支えるボランティアの方々の中に、昔から地域で関わりがあり、松戸集会時代からバザーなどの活動を知っていた人がいて、教会のこの場所が広々としていて、子どもたちが遊ぶ庭もあり、厨房もあり最適だと思われたのです。教会で協議して、いいでしょうということになり、覚書をかわして、コロナ禍の中でしたが、ようやく2020年11月から、調理はせず、お弁当の配布ということで始まりました。

ちょうどその11月、全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長の湯浅誠氏が、松戸市民会館に来られましたので、話を伺う機会をいただき、なるほど、と「こども食堂」のことを知ることができました。キーワードは「つながり」であり、2010年、NHKスペシャルで「無縁社会」が放映され、その危機感の流れの中で、2012年に「こども食堂」は始まったというのです。家族崩壊や社会の歪の中で、子どもたちの居場所作りが、基本的な目的です。それは地道に始まりましたが、驚くべき展開です。2016年には全国で319ヶ所、2018年には3718ヶ所、そして2020年には5000ヶ所に達したのです。松戸市には現在20ヶ所開かれています。湯浅さんは、こども食堂はただ食べるだけじゃない、学習塾もただ勉強だけじゃない、だけじゃないなら、そこに何があるかと言えば、「つながり」だとおっしゃるのです。こども食堂を実施して来られた方たちの話も聞くことができました。初めはご自分の家を開放して近所の子どもたちに場を提供することから始めた方もいますし、キッチンカーで地域を回る働きも紹介されました。

さて、現在毎月第1土曜日の10時前から20人近くのボランティアが教会に集まり、準備をして、11時半前からお弁当の配布が行われています。子どもたちは無料、大人は300円です。利用者は近隣の子どもたちとご家族、学童の子どもたち、ご高齢者も見えます。聖徳大学の学生たちが子どもたちを遊ばせてくれることもあります。本来は調理された食事が提供され、テーブルを囲んで共に食することがあるべき姿なのですが、今はそれができないのがとても残念です。それでも今までのつながりで、また来てね、ありがとう、と声を掛け合い、大人も子どもも出会いを喜んでいます。5月1日には、連休で学童のグループが来なかったりしましたが、子どもと大人が35人ずつ位で、ボランティアを含めると80人以上の人たちが入れ替わり訪れました。受付で消毒と検温をして、お弁当、お菓子などもらって帰ります。松戸市の地域共生課や地元の社会福祉協議会、そして近くの千葉西総合病院が「地域社会への貢献事業」として応援してくださり、東葛フードバンクとも連携しています。

教会の場所を大いに宣伝してくださり、何よりも「仕える」(ディアコニア)宣教に参与させていただいているという喜びを味わっています。バザーが始まったら、子どもたち、ボランティアの人たちも含めて、より楽しい交わりが期待されるのです。

司祭ヤコブ三原一男(松戸聖パウロ教会嘱託司祭)


「難民と共に生きる」教会 オンラインセミナー 報告

4月23日(金)、日本聖公会人権問題担当者主催「『難民と共に生きる』教会 オンラインセミナー」がZoomにて開催されました。外国人の収容や送還のルールを見直す「出入国管理及び難民認定法」(入管法)の改定案が2月に閣議決定され、5月から国会で審議されようとしていましたが、セミナーではその問題点を学び、改めて日本の難民政策について考えました。外キ協の事務局次長をされている佐藤信行さんがファシリテーターを務められました。

はじめに、日本カトリック難民移住移動者委員会によるセミナーの記録映像を見ました。長年難民申請者の支援にあたってこられた駒井知会弁護士から、日本の難民・非正規滞在者の状況と入管法改定案の内容・背景についてのお話があり、また現在難民申請中のクルド人デニズさんの証言がありました。入管内でデニズさんが大勢の職員から暴力を受けている映像が流された後、デニズさんは涙し、「あそこは本当に地獄」「心が痛い」「今でも入管の夢を見る。眠れない」と訴えていました。

続いて、佐藤さんから資料に基づいた補足説明がありました。佐藤さんが今回の入管法改定案の問題点として挙げたのは次の五つです。①国際人権機関や諸外国から批判されている、難民認定率1%以下という劣悪な難民認定制度を維持していること。②国際人権機関から繰り返し是正勧告を受けている、難民申請者の保護制度の欠如、また難民申請者や超過滞在者を司法審査なしに、すべて(全件)無期限に入管施設に収容する収容制度を維持していること。③帰国すると迫害を受ける人、すでに日本人と結婚して子どもが生まれ生活基盤があり帰国できない人など、強制送還を拒否するこれら難民申請者・超過滞在者に対して「送還忌避罪」(刑事罰)を新設していること。④入管施設から仮放免された者に対する「監理措置」制度を新設し、仮放免中の逃亡に対して「仮放免逃亡罪」(刑事罰)を新設していること。⑤現行法では難民申請中は強制送還できないため、これを改め、3回目以降の難民申請を認めず強制送還できるようにすること。

最後に、参加者同士で短い分かち合いの時を持ちました。以上がセミナーの主な内容です。結果的に入管法改定案は大きな反対運動が起こったために廃案となりました。しかし、国際的な人権基準に沿っていない現行の入管法の問題は依然として残っています。

内閣府の世論調査では、「今後の難民等の受け入れの方向性」について、「積極的に受け入れるべきである」という意見が全体の24%、「慎重に受け入れるべきである」という意見が56.9%で、積極派よりも慎重派が多数を占めています。現行の難民政策は国民の意思を反映している、と言えなくもありません。けれども、私たちは第一にキリスト者であることを忘れてはならないでしょう。福音書には次のように記されています。「『さて、あなたはこの三人の中で、だれが追いはぎに襲われた人の隣人になったと思うか。』律法の専門家は言った。『その人を助けた人です。』そこで、イエスは言われた。『行って、あなたも同じようにしなさい。』」(ルカ10:36-37)

司祭サムエル北澤洋(宣教主事)

編集責任者:宣教主事 司祭 サムエル 北澤 洋
編集・構成:司祭 テモテ 姜 暁俊
社会委員:司祭 ダニエル 竹内一也、司祭 トマス 吉田仁志、エステル 近藤順子(横浜聖アンデレ教会)、ペトロ 勝沼正和(横浜山手聖公会)