【主教メッセージ】礼拝指針について(2023年5月9日付) 詳細

「見つめる時・見つめなおす期節」

司祭 ペテロ 松田 浩
藤沢聖マルコ教会牧師

大斎始日

被献日の福音書で、両親は主の律法に従いイエス様を主に献げるためにエルサレムの神殿に連れて行ったと、その時の様子を伝えています。


祈祷書には、「司祭は信徒に幼子が生まれたときは聖堂に連れてきて洗礼を受けさせることを勧める」と記されています。司祭からの勧めがなくとも、教会に生まれて間もない一人の幼子がいるだけで、暖かい空気に包まれます。そして、イエス様が、「子どもたちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。神の国はこのような者たちのものである。はっきり言っておく。子どものように神の国を受け入れるものでなければ決してそこに入ることはできない」(マタイ十・十四~十五)と仰られたように、教会全体で幼子の成長を見守り、幼子は洗礼・堅信を拝領し、主の器・イエス様の光の子として世の人々を照らし歩みを進めます。主に従う者としていただいた私たちは、光の子です。主は子どもである私たちに、常にみ顔を仰ぎ見てこの世での生を歩むことを求められています。

しかし、私たちは様々な試練や苦しみを乗り越えた時、傲慢にも自分の足だけで歩き抜いた、自分だけで克服できたという思いになる時があります。また、嬉しい時楽しい時、いついかなる時にも聖なる三位一体の神が私たちをお守りくださっているということに気が付くことなく、どこかに置き忘れていることもあるのではないでしょうか。


 大斎節は、そのような私たちの信仰を改めて顧みる時であるように思います。「悔い改め」るには、自分自身の心の状況をよくよく調べなければなりません。大斎節に限らずわたしの中心には聖なる三位一体の神がいてくださっていることを確認しながら、日々生活を送ることが求められています。「あなたの富のあるところに、あなたの心もあるのだ」(マタイ:六・二一)と


「永遠にいます全能の神よ、あなたは造られたものを一つも憎まず、悔い改めるすべての罪人を赦してくださいます。どうかわたしたちのうちに悔い改めの心を新たにおこしてください。わたしたちが罪を悲しみ、その災いを悟り、完全に赦しと平安にあずかることができますように、主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン」(大斎始日特祷)


 私たちの中心には、聖なる三位一体の神がともにいてくださっています。そして、私たちの生活は、毎主日献げられる礼拝が中心でなければなりません。それぞれの場で献げられる日々の祈り、感謝のうちに一週を過ごし、教会に集い礼拝を献げ、主の御言葉と御体と御血によって新たなものとしていただき、主がともにいてくださり、世に主の光を輝かせる器として歩ませてくださいと願います。


 主の平和のうちに居させていただいていることに感謝し今年の大斎節を過ごして参りたいと思います。

(『横浜教区報』2023年2月号巻頭言より)

以下の旧約聖書、使徒書、福音書は『聖書 新共同訳』より引用しました。
©︎共同訳聖書実行委員会
Executive Committee of The Common Bible Translation
©︎日本聖書協会
Japan Bible Society , Tokyo 1987,1988

旧約聖書 ヨエル書 2:1-2、12-17


1シオンで角笛を吹き
わが聖なる山で鬨の声をあげよ。
この国に住む者は皆、おののけ。
主の日が来る、主の日が近づく。
2それは闇と暗黒の日、雲と濃霧の日である。
強大で数多い民が
山々に広がる曙の光のように襲ってくる。
このようなことは、かつて起こったことがなく
これから後も、代々再び起こることはない。

12主は言われる。
「今こそ、心からわたしに立ち帰れ
断食し、泣き悲しんで。
13衣を裂くのではなく
お前たちの心を引き裂け。」
あなたたちの神、主に立ち帰れ。
主は恵みに満ち、憐れみ深く
忍耐強く、慈しみに富み
くだした災いを悔いられるからだ。
14あるいは、主が思い直され
その後に祝福を残し
あなたたちの神、主にささげる穀物とぶどう酒を
残してくださるかもしれない。
15シオンで角笛を吹き
断食を布告し、聖会を召集せよ。
16民を呼び集め、会衆を聖別し
長老を集合させよ。
幼子、乳飲み子を呼び集め
花婿を控えの間から
花嫁を祝いの部屋から呼び出せ。
17祭司は神殿の入り口と祭壇の間で泣き
主に仕える者は言うがよい。
「主よ、あなたの民を憐れんでください。
あなたの嗣業である民を恥に落とさず
国々の嘲りの種としないでください。
『彼らの神はどこにいるのか』と
なぜ諸国の民に言わせておかれるのですか。」

詩編 103:8-14

8 主は恵み豊かに、憐れみ深く ‖ 怒るに遅く、慈しみは深い
9 常に憤る心を鎮め ‖ いつまでも怒りを続けられない
10 罪に従ってわたしたちをあしらわず ‖ とがに従って罰を下すことはない
11 天が地より高いように ‖ 神を畏れる人への慈しみは大きい
12 東と西が果てしなく遠いように ‖ 神はわたしたちを罪から引き離される
13 父が子供を憐れむように ‖ 主の憐れみは、神を畏れる人の上にある
14 主はわたしたちの姿を知り ‖ 塵に過ぎないことを心に留められる

使徒書 コリントの信徒への手紙 Ⅱ 5:20bー6:10

キリストに代わってお願いします。神と和解させていただきなさい。 21罪と何のかかわりもない方を、神はわたしたちのために罪となさいました。わたしたちはその方によって神の義を得ることができたのです。 

1わたしたちはまた、神の協力者としてあなたがたに勧めます。神からいただいた恵みを無駄にしてはいけません。 2なぜなら、
「恵みの時に、わたしはあなたの願いを聞き入れた。
救いの日に、わたしはあなたを助けた」
と神は言っておられるからです。今や、恵みの時、今こそ、救いの日。 3わたしたちはこの奉仕の務めが非難されないように、どんな事にも人に罪の機会を与えず、 4あらゆる場合に神に仕える者としてその実を示しています。大いなる忍耐をもって、苦難、欠乏、行き詰まり、 5鞭打ち、監禁、暴動、労苦、不眠、飢餓においても、 6純真、知識、寛容、親切、聖霊、偽りのない愛、 7真理の言葉、神の力によってそうしています。左右の手に義の武器を持ち、 8栄誉を受けるときも、辱めを受けるときも、悪評を浴びるときも、好評を博するときにもそうしているのです。わたしたちは人を欺いているようでいて、誠実であり、 9人に知られていないようでいて、よく知られ、死にかかっているようで、このように生きており、罰せられているようで、殺されてはおらず、 10悲しんでいるようで、常に喜び、貧しいようで、多くの人を富ませ、無一物のようで、すべてのものを所有しています。

福音書 マタイによる福音書 6:1-6、16-21

1「見てもらおうとして、人の前で善行をしないように注意しなさい。さもないと、あなたがたの天の父のもとで報いをいただけないことになる。
2だから、あなたは施しをするときには、偽善者たちが人からほめられようと会堂や街角でするように、自分の前でラッパを吹き鳴らしてはならない。はっきりあなたがたに言っておく。彼らは既に報いを受けている。 3施しをするときは、右の手のすることを左の手に知らせてはならない。 4あなたの施しを人目につかせないためである。そうすれば、隠れたことを見ておられる父が、あなたに報いてくださる。」
祈るときには
5「祈るときにも、あなたがたは偽善者のようであってはならない。偽善者たちは、人に見てもらおうと、会堂や大通りの角に立って祈りたがる。はっきり言っておく。彼らは既に報いを受けている。 6だから、あなたが祈るときは、奥まった自分の部屋に入って戸を閉め、隠れたところにおられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば、隠れたことを見ておられるあなたの父が報いてくださる。

16「断食するときには、あなたがたは偽善者のように沈んだ顔つきをしてはならない。偽善者は、断食しているのを人に見てもらおうと、顔を見苦しくする。はっきり言っておく。彼らは既に報いを受けている。 17あなたは、断食するとき、頭に油をつけ、顔を洗いなさい。 18それは、あなたの断食が人に気づかれず、隠れたところにおられるあなたの父に見ていただくためである。そうすれば、隠れたことを見ておられるあなたの父が報いてくださる。」
天に富を積みなさい
19「あなたがたは地上に富を積んではならない。そこでは、虫が食ったり、さび付いたりするし、また、盗人が忍び込んで盗み出したりする。 20富は、天に積みなさい。そこでは、虫が食うことも、さび付くこともなく、また、盗人が忍び込むことも盗み出すこともない。 21あなたの富のあるところに、あなたの心もあるのだ。」

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