【主教メッセージ】礼拝指針について(2023年5月9日付) 詳細

「光は暗闇の中で輝いている」

主教イグナシオ入江 修

クリスマス・メッセージ

自然界は強いものが生き残り子孫を残すため、日々、生存競争が繰り返されてきましたが、私たち人間も同じように強さに憧れ、自らが力を持つことに執着し、今なおそれを求め続けています。

力による支配の下、強いものが弱いものを支配するという構造です。ガザに侵攻したイスラエル軍はブルドーザーと戦車で、あらゆる建物を破壊して進み、今も前進を続けています。そこに生活し、命を紡いできた人たちが犠牲となり、殊に幼い子どもたちが傷ついています。

それはまるで、聖マタイの福音書第二章に記された、ヘロデ王による幼な子たちの虐殺を思い起こさせます。そこでは、エレミヤ書の引用で「ラケルは子供たちのことで泣き、慰めてもらおうともしない、子供たちがもういないから。」と記されており、アッシリアによってヨセフの妻ラケルの生んだ子どもたち、ヨセフとベニヤミンの一族の滅亡を指していると言われていますが、それが現代に再び起こっているかのように思われてなりません。

ロシアによるウクライナ侵攻に加え、イスラエル軍によるガザ侵攻のニュースに出会いながら、どこまでも人間は力を求め、力に頼り、力をもって相手を支配しようとする思いは変わることなく続いていると言わざるを得ません。

さて、そんな人間の罪による深い闇の世界に、神さまは、その人間の罪の深い深い闇の中に灯る小さな光をベツレヘムの家畜小屋に灯されました。それは、貧しく弱く、そして小さな光でした。

けれども、その光は暗闇の中で人びとを照らし、自らの罪を悔い改め、その光を信じる人びとによって灯し続けられ、私たち人類の罪を贖い、死ぬべき者に命をもたらす救いの光となりました。

主イエスさまに、この世の力強さはありません。あるのは、ただ人を深く憐れむ神さまの愛だけです。その愛の故に、主は十字架の死に至るまで御父のみ心に従順でした。

しかし、どんなに小さな光であっても、暗闇はその光に勝てません。光は暗闇に輝いて世を照らします。それは真理です。

私たちはその光こそが命をもたらす光であることを信じて、貧しさと弱さの中に神さまが与えてくださった命の輝きを見つめます。

主の天使は、野宿している羊飼いたちに宣言します。「この方こそ、主メシアである」と。それが、幼な子として世に来られた私たちの救い主なのです。

「いと高きところには栄光、神にあれ。地には平和、御心に適う人にあれ。」(ルカ2:14)

(『横浜教区報』2024年1月号巻頭言より)

以下の旧約聖書、使徒書、福音書は『聖書 新共同訳』より引用しました。
©︎共同訳聖書実行委員会
Executive Committee of The Common Bible Translation
©︎日本聖書協会
Japan Bible Society , Tokyo 1987,1988

旧約聖書 イザヤ書 52:7-10

7いかに美しいことか
山々を行き巡り、良い知らせを伝える者の足は。
彼は平和を告げ、恵みの良い知らせを伝え
救いを告げ
あなたの神は王となられた、と
シオンに向かって呼ばわる。
8その声に、あなたの見張りは声をあげ
皆共に、喜び歌う。
彼らは目の当たりに見る
主がシオンに帰られるのを。
9歓声をあげ、共に喜び歌え、エルサレムの廃虚よ。
主はその民を慰め、エルサレムを贖われた。
10主は聖なる御腕の力を
国々の民の目にあらわにされた。
地の果てまで、すべての人が
わたしたちの神の救いを仰ぐ。

詩編 98:1-5

1  新しい歌を主に歌え。神は不思議なみ業を行われた ||  その偉大な右手、尊いみ腕は救いの 力
2  主は救いを示し ||  諸国の民に正義を 現された
3  慈しみとまことをもって、イスラエルの家に 心を留められる ||  遠く地の果てまで、すべての者が神の救いを見た
4  世界よ、主に向かって 喜びの声を上げ ||  声を放ち賛美の歌で神をほめよ
5  竪琴を奏でて主をたたえ ||  その調べに合わせてほめ歌え

使徒書 ヘブライ人への手紙 1:1-12

1神は、かつて預言者たちによって、多くのかたちで、また多くのしかたで先祖に語られたが、 2この終わりの時代には、御子によってわたしたちに語られました。神は、この御子を万物の相続者と定め、また、御子によって世界を創造されました。 3御子は、神の栄光の反映であり、神の本質の完全な現れであって、万物を御自分の力ある言葉によって支えておられますが、人々の罪を清められた後、天の高い所におられる大いなる方の右の座にお着きになりました。 4御子は、天使たちより優れた者となられました。天使たちの名より優れた名を受け継がれたからです。
5いったい神は、かつて天使のだれに、
「あなたはわたしの子、
わたしは今日、あなたを産んだ」
と言われ、更にまた、
「わたしは彼の父となり、
彼はわたしの子となる」
と言われたでしょうか。 6更にまた、神はその長子をこの世界に送るとき、
「神の天使たちは皆、彼を礼拝せよ」
と言われました。 7また、天使たちに関しては、
「神は、その天使たちを風とし、
御自分に仕える者たちを燃える炎とする」
と言われ、 8一方、御子に向かっては、こう言われました。
「神よ、あなたの玉座は永遠に続き、
また、公正の笏が御国の笏である。
9あなたは義を愛し、不法を憎んだ。
それゆえ、神よ、あなたの神は、喜びの油を、
あなたの仲間に注ぐよりも多く、あなたに注いだ。」
10また、こうも言われています。
「主よ、あなたは初めに大地の基を据えた。
もろもろの天は、あなたの手の業である。
11これらのものは、やがて滅びる。
だが、あなたはいつまでも生きている。
すべてのものは、衣のように古び廃れる。
12あなたが外套のように巻くと、
これらのものは、衣のように変わってしまう。
しかし、あなたは変わることなく、
あなたの年は尽きることがない。」

福音書 ヨハネによる福音書 1:1-14

1初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。 2この言は、初めに神と共にあった。 3万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。 4言の内に命があった。命は人間を照らす光であった。 5光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった。
6神から遣わされた一人の人がいた。その名はヨハネである。 7彼は証しをするために来た。光について証しをするため、また、すべての人が彼によって信じるようになるためである。 8彼は光ではなく、光について証しをするために来た。 9その光は、まことの光で、世に来てすべての人を照らすのである。 10言は世にあった。世は言によって成ったが、世は言を認めなかった。 11言は、自分の民のところへ来たが、民は受け入れなかった。 12しかし、言は、自分を受け入れた人、その名を信じる人々には神の子となる資格を与えた。 13この人々は、血によってではなく、肉の欲によってではなく、人の欲によってでもなく、神によって生まれたのである。
14言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た。それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた。

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