＋主教イグナシオ
欅の坂みち 2024年4月号
5年前に購入したパソコンの動きが遅くなってしまい、新しいパソコンに入れ替えることにしましたが、パソコンの入れ替えは、懐具合も含めてなかなか勇気がいるものです。そのままで今まで使っていたのと同じように使うことはできず、自分が使い易いようにあれこれと設定をしなければなりませんし、データも移さなければなりません。
確かに性能も上がっているのですが、それに比例して値段も上がっており、中途半端なものを購入して、期待した性能が得られなければ意味がありません。
そこで一大決心をしてネット通販で探してみましたが、やはり新品は価格が一桁違い、止むを得ず新品に近い中古品を探しました。
立ち上げてみますと、さすがに動きは速くなっていましたが、そこからが大仕事で、設定やデータの移行は一苦労です。おまけに、昨今のＩＴ機器はアカウントを登録すると見えないところで勝手に連携されていて、もう必要ないと思って古いパソコンのデータを消去したところ、新しいパソコンのデータまでが消えてしまい肝を冷やしました。
私はまだ、現金での支払いが多いのですが、今、多くの人はスマートホン1台で、電話やウェブはもとより電車もバスも買い物もみなピッという電子音で済ませています。そこにお金の動きは見えません。しかし、通信トラブルが起きた途端、電話やウェブだけでなく、電車も乗れず買い物もできなくなります。そこには、便利さと裏腹の脆弱さが垣間見えてきます。
「見えないものは永遠に存続する」（Ⅱコリ4:18）と聖パウロは述べていますが、昨今では、私たちは、見えないものの中でも何が永遠なるものなのかを見分ける目を養っていくことが必要とされてきているように思います。
